松山ケンイチ、『カムイ外伝』の怖い監督から言われた意外な一言
今や日本の映画界を背負って立つ若手俳優のひとりである松山ケンイチ。その彼が主演する映画『カムイ外伝』の完成披露試写会が7月22日に行われ、松山と崔洋一監督、脚本の宮藤官九郎が登壇した。
崔監督は、「『カムイ外伝』をやるとなったときに、“松山ケンイチしかいない”と思った。勝手に妄想を膨らませていて、彼がいなければやらないと公言していた」と、“極めて強い主観”を持っていた松ケンへのラブコールを冷静ながらも熱っぽく観客に伝えていた。
そんな監督からの強烈なプッシュを受けた松山は、この有名漫画が原作の時代劇で“抜忍”として活躍するのだが、オファーを受けたとき、「日本に生まれたからにはやるべき、やらせてもらいたい」という心境だったという。「忍者なので(侍等と違って)刀さばき、身のこなし等、いろいろ挑戦できる」という積極的な理由もコメント。監督の愛をしっかり受け止めた様子が見て取れた。
その2人の思いは、アクション用のトレーニング期間を見ても一目瞭然。アクションシーンについては、「ほぼ初めて」という松ケン。「“(普通は)3か月だけ訓練して、後は現場で”というのが多いので、1年間ものトレーニングをさせてもらえるのは幸せ」と恵まれていた状況を振り返る。
こうして生まれた松ケン“忍者”は、原作者も絶賛されたようだ。原作者の白土三平が松山を見て「本物(のカムイ)がいる」と言ったエピソードを監督が披露すると、これには会場から自然と拍手が沸いた。松山は「原作者はある程度キャラクターについて思うところを持っているもの。(原作者から言われて)これ以上の幸せはないと思いますよ」とかみしめるように思いを口にした。
とはいえ、崔監督は周りから怖いと恐れられている“鬼監督”。松山はどう見ていたのだろうか? 「初めはビクビクしていました。ですが、衣装合わせのときに、監督から『ケンちゃん、これ着てみて』と(砕けたように)言われて、見透かされたような感じで。心を預けられるなと思いました」と信頼関係も垣間見せた。
そんな2人とは対照的に、いつも通り力の抜けたトークで“らしさ”をアピールしたのが脚本のクドカン。なんでも「日活の食堂で監督から声をかけられた(会場笑)」という宮藤は、「崔さんと(コラボしている自分って)凄いなぁと」と朴訥な宮藤節で共同脚本の様子を語った。
監督曰く、「人の生き方、生き抜くことのしんどさ、目の前にある不自由なことに立ち向かうこれからのヒーローを描いた」という『カムイ外伝』。本作でさらなる成長を遂げた松山ケンイチの活躍をお楽しみに。【MovieWalker/堀田正幸】