『鷹の爪』で上半身しか描かない理由は「大変だから」!?
『鷹の爪』10周年記念作品『鷹の爪8 〜吉田くんの×(バッテン)ファイル』の先行試写会が、8月11日に神楽座で開催。これまでのシリーズで声優を務めたラッパーの宇多丸、女優で声優の上野アサ、FROGMAN監督が登壇した。FROGMAN監督は、『鷹の爪』の画作りやこだわりについて語った。
FROGMAN監督は、『鷹の爪』シリーズでバストショットが多い理由について「足まで映すと、歩くところを描かなきゃいけないから大変なんです」と苦笑い。「だから上半身だけ。それって連ドラの撮り方なんです。たとえば、山田洋次監督は引きの画ばかりでしょ。でも、連ドラはバストショットばかり。連ドラは時間がないし、大根役者でも成立するような作品の作り方をしているんです」。
宇多丸が「でも、その分、奥行きなど、画面のレイアウトは気を遣われているとお聞きしましたが」と振ると、FROGMAN監督は「めちゃくちゃ気を遣ってます」とうなずく。「奥行き感は大事で、それを出すのが配列です。ややローアングルで上に向けて作っています」。
宇多丸が「フラッシュアニメという制限されているなかで、どうするかっていう方がクリエイティブなことができますよね」と納得する。FROGMAN監督は「そうじゃなきゃ、90分は耐えられないから。僕がついていた監督は、武闘派の映画監督が多かった。『半落ち』(02)の佐々部清監督もおっかなくて、いつもどなられながらやってました。すごい熱い人で、日本映画界最後の武闘派と言われています。僕は、そういうところで学べて良かった」と感慨深い表情で話す。
さらに、吉田くんをはじめ、さまざまなキャラクターの声をあてているFROGMANは、その理由について「僕は島根でひとり、アマチュアで作っていて。声優さんなんていないから、誰か近所の人にやってもらわないといけなかった。でも、周りは専業農家ばかりで出雲弁がすごくて。しょうがないから自分でやり始めたのが最初です。最初はすごい下手くそで、やっていくうちに演じ分けができるようになりました」と語った。
『鷹の爪8 〜吉田くんの×(バッテン)ファイル』は、秘密結社、鷹の爪団によるゆるい世界征服の模様をフラッシュアニメで描くギャグアニメの劇場版第8作。鷹の爪団の団員である吉田くんが、島根県で暮らす小学生時代のエピソードがつづられる。【取材・文/山崎伸子】