蒼井優、東京国際映画祭コンペ選出作品は「主演だけど行方不明」
第29回東京国際映画祭のラインナップ発表記者会見が9月26日に虎ノ門ヒルズフォーラムで行われ、コンペティション部門に選出された『アズミ・ハルコは行方不明』主演の蒼井優が登壇。松居大悟監督の並々ならぬ意気込みを知っていただけに、選出に「ホッとしています」と母性たっぷりに語り、会場の笑いを誘った。
今年のコンペティション部門は、98の国と地域から1502本がエントリーされ、厳正な予備審査を経た16本の作品を上映。東京グランプリを争う。コンペティション部門国際審査委員長はジャン=ジャック・ベネックスが務める。会見には、松居大悟監督、コンペティション部門『雪女』の青木崇高も出席した。
『アズミ・ハルコは行方不明』は、OL安曇春子の失踪事件の背景と行く末を描く女子たちの青春物語。「松居監督がドキドキしながら選ばれるかどうか待っていたのを、近くで見ていた」という蒼井。松居監督は選出の報を受けて「泣いてしまった」そうだが、蒼井は「松居監督は落ち込む時はとことん落ち込む。監督の思いが通じてホッとしています」とうれしそうな笑顔を見せていた。
蒼井が実写映画で単独主演を務めるのは、7年ぶりのこと。オファーを受けとった際には「主演だけど行方不明なのかと。これは楽かもしれないと、正直思いました」と茶目っ気たっぷりに語り、会場も大爆笑。「意外と出番があって、そんなに甘いものじゃなかった」とジョークを放ちつつ、「ここにいらっしゃる女性も脛に傷があったりすると思いますが、その脛の傷が愛おしく思えるような作品」と完成作に自信をのぞかせていた。
また、アニメーション特集「映画監督 細田守の世界」が組まれることとなった細田監督も登場。初期の貴重な作品から最新作までを上映する細田監督の世界初の大規模特集となるが、細田監督は「まとまって上映される機会は初めて。とても光栄」とラインナップを見つめて、感慨深け。
「アニメーションという技法を使って映画を作るというのは、どういうことかと考えながら作ってきた。今までに描けていないものがもっとあるんじゃないかという試みを繰り返してきた。これからもそこに到達していきたい」と意欲を明かし、「みなさんと一緒に作品を振り返りながら、未来の映画に向けて話し合っていきたい」と特集上映への楽しみを明かしていた。
第29回東京国際映画祭は、10月25日(火)から11月3日(木・祝)まで開催。従来の六本木ヒルズに加え、EXシアター六本木でも開催されるほか、アニメイベントや野外上映など新しいイベントや取り組みも予定されている。【取材・文/成田おり枝】