ブレイク寸前の3D映画、今年注目の3作の“立体っぷり”
「3D映画元年」となる今年、すでに何本か3D映画として公開され話題になっていた。今後の2009年下半期に世間で騒がれるであろう3作品を早速見比べてみたが、やはりタダモノではなく凄かった! それぞれの魅力をお伝えしよう。
まず、“先鋭的”なイメージだったのは、“映画体験に大きな変革をもたらす”という凄いキャッチコピーがついている『アバター』(12月18日公開)。『タイタニック』(97)のジェームズ・キャメロン監督の12年ぶり(!)の最新作で、先日実施された約15分のフッテージ映像上映では、鮮やかな背景の“ファンタジー”が展開され、別空間にいる感覚だ。人間のように見えて人間ではない登場人物「アバター」の動きが精巧で、異世界に連れてこられた気分。野生のドラゴン(?)らしき生き物を飼い慣らして滑空する様は、スクリーンでこそ観たい(興行主が喜びそうな)大迫力だ。
次に、絵の質感が重厚で、おとぎの国に入ったかのような錯覚に陥るのは、ディズニーが世に送り出す『DISNEY'S クリスマス・キャロル』(11月14日公開)。文豪ディケンズの名作で、過去・現在・未来とタイムスリップする物語を、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(85)のロバート・ゼメキスという本作にぴったりの監督が料理する。昨日実施されたフッテージ映像上映では、原作が醸す雰囲気とディズニー的なコメディの要素が相まって、家族で楽しめる出来を予感させた。主人公に近づいてくる亡霊の3D効果に子供は喜び(ビックリし)そうだ。
そして、3Dの効果を積極的に取り入れているのが、世界を視野に入れた日本初の3D実写長編映画『戦慄迷宮3D』(10月17日公開)。Jホラーの筆頭・「呪怨」シリーズの清水崇監督が、ギミックを駆使して新たな恐怖を作り出した。監督ならではの頭脳的でパラレル感あるストーリーと、物が降ってきたり手が伸びてきたりという3Dを活かした画面構築にゾクッとする。富士急ハイランドの人気アトラクションがモチーフなので、まるで劇場にいながらお化け屋敷を楽しめるライド感覚だ。
前2作は短い映像しか観ていないが、実写の部分がほとんどなさそうなので、ゼロから世界を作っているようだ。どの作品も3Dの効果を活かしつつ、CGやモーション・キャプチャー等デジタル技術を駆使している。ただ、3D映画とはいえ、「この監督なら、こういう撮り方・演出をするね」という各監督の色がうかがえるので安心して映画館に足を運べる。
映画の歴史を変えると言われる3D映画。本格的に始動する今年後半戦の3本はしっかりと心に留めて、実際に3D映画の真価を確かめてみて。【MovieWalker/堀田正幸】