いま流行りの3D映画の“逆説的な魅力”とは?
2009年後半は、『アバター』(12月18日公開)、『DISNEY'S クリスマス・キャロル』(11月14日公開)、『戦慄迷宮3D』(10月17日公開)など、期待の3D映画の公開が控えている。これら3D映画には、実はある“逆説的な魅力”がある。
それは、様々な工夫で観客を引きこんだ結果、物語が面白いほど、映像に没入するあまり“3D映画”だということを忘れてしまうということ。3D映画と言えば、物が浮き出たり、飛び出してきたりという“3Dならでは”の面白味が付きものだが、面白い映画はたとえそれがなくても面白い。
もちろん、それは監督もわかっている。先日行われた日本初の3D実写長編映画『戦慄迷宮3D』のティーチインで、清水崇監督が語っていたことは、「ドラマがよいと、3Dを忘れてしまうんですよね。(せっかくの3D映画なので)3Dを忘れた頃に、飛び出してくる物を登場させたり、あくどい演出をしてみたりしました」というくらい意識をしている。
『アバター』のジェームズ・キャメロン監督も、最新作について「3D映画というよりファンタジー映画だ」と話している。3Dは、あくまでも観客をより楽しませるための効果であることを知っているからこその言葉だ。3D映画を作る製作者は、3D効果を楽しんでもらいつつ、映画そのものに満足してもらえるよう最大限の努力をしているのだ。
この逆説は、2Dと3Dのどちらが優位かという話ではない。観る側からしてみれば、2Dでも3Dでも面白ければそれでよいのだ。とはいえ、物珍しさも手伝って、3D映画を観たいという需要は高まりつつある。もし3Dの映画があるならば、2Dでは味わえない感覚を味わってみては。【MovieWalker/堀田正幸】
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