行定勲監督&高良健吾『うつくしいひと』続編の意義を語る「熊本を忘れないで」

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行定勲監督&高良健吾『うつくしいひと』続編の意義を語る「熊本を忘れないで」

震災前の熊本を捉えた映画『うつくしいひと』のQ&Aセッションが10月27日に第29回東京国際映画祭を開催中のTOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、行定勲監督、姜尚中、米村亮太朗、橋本愛、高良健吾、くまモンが登壇。続編の製作も決定した本作について、高良が「震災が起きた後の熊本を残さなければいけない」と力強くその意義を語った。

本作は、熊本にロケハンに訪れた映画監督が若い女性に出会い、一緒に小さな旅を続ける物語。熊本出身の行定監督が、熊本出身の出演者たちとともにつくりあげ、熊本城や通潤橋、菊池渓谷など、熊本の美しい風景が映画を彩る。

橋本は「菊池渓谷のシーン」がお気に入りとのこと。「菊池渓谷の美しさは素晴らしい。神々しくて、こんな場所があるんだ!と思って」とにっこり。「あんなに美しい場所があることを、映像として残せてよかった。みなさんにも一度行ってみてほしい場所です」とアピールしていた。

高良は、本作の撮影時には「震災が起きるとは思っていなかった」と口火を切り、「震災前の熊本の景色を捉えた映画を作れてよかった。記録として、震災前の熊本を残せた」とじっくりと語る。続編については、「震災が起きた後の熊本を残さなければいけないという思いが、行定さんにも僕にもあって。それで続編が決まったと思います」と経緯を話し、「今の熊本を映像として残すのはすごく意味のあること。映画の力を借りて、熊本に恩返しすることができれば」と胸の内を明かした。

行定監督は、数日後には続編の撮影に入ることを明かし、「主人公の探偵は、被災地になったとしても、普通の日常を取り戻した人たちと、普通に関わっていく」と続編の構想についてコメント。「熊本の人たちは、日常を取り戻す大変さを知った上で今、復興している。そういうものに触れながら、熊本の現状を全国の人に観ていただきたい。この映画を観ていただいて、熊本を忘れないで、熊本と距離を縮めてほしい」と訴えた。

続編の公開は来春予定とのこと。「復興を祈った映画祭をやろうとしています。そのオープニング作品として、発表したい」と意気込み、行定監督は「その時はぜひ、熊本に遊びに来ていただければ」と語りかけ、大きな拍手を浴びていた。【取材・文/成田おり枝】

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