蒼井優と高畑充希が、20代後半の第二思春期を語る!

インタビュー

蒼井優と高畑充希が、20代後半の第二思春期を語る!

山内マリコの同名小説を映画化した『アズミ・ハルコは行方不明』(12月3日公開)で共演した蒼井優と高畑充希。安曇春子の失踪事件とその背景が時系列を織り交ぜて描かれる本作で、主人公の春子を蒼井が、春子の写真をモチーフにしたグラフィティアートを無邪気に拡散させる少女・木南愛菜を高畑が演じた。心揺れるアラサーを演じた蒼井と、20歳の女子ならではのエネルギーを炸裂させた高畑にインタビュー。

蒼井は本作の松居大悟監督とプロデューサーの枝見洋子と同世代なので、すぐに意気投合できたと言う。「3人共アラサーだったから、カメラ前と後ろの温度がそんなに変わらないまま撮影できた気がします。松居監督にはアドバイスが欲しい時だけ質問をしました」。

たとえば春子が恋人の曽我雄二(石崎ひゅーい)にふられるシーンがそうだ。「私は何かを枯渇したことが人生においてないから、ああいうボロボロな心境に陥ったことがなくて。感覚がつかみきれなかったので監督に聞きました。監督から『とにかく格好悪くやってくれ』と言われたのでやってみたら『ああ、こういうことだったのか』と納得しました」。

高畑は常にハイテンションな愛菜を毎日悩みながら演じていったそうだ。「『わからない』と毎日言いながらやっていきました。松居さんにも『わからないです。どうしたらいいですか?』と聞いたら『俺にもわからない』と言われました(苦笑)」。

愛菜役を高畑にオファーしたと聞き、最初は驚いたという蒼井。「『本当に!?』と思いました(笑)。でも、みっちゃん(高畑充希)は自分のなかでワクワクする存在の1人だったので、引き受けてくれたらうれしいなと思ったんです。愛菜は自分だと絶対にやれない難しい役だし、実際にみっちゃんも現場で『すごくわからない』と言っていました」。

高畑は「わからなさすぎたので、優ちゃんに『わからない』と嘆いたら『わからなくていいよ。わからないのが愛菜だよ』と言ってくれたんです。だからその言葉を信じてついていった感じでした」と蒼井への信頼感を語る。

蒼井は「私はそれでいいんだと思って見ていました。だって愛菜自身が自分のことをわかってないと思っていたから。でも、最後に落ち合うシーンで振り返ったら、みっちゃんが愛菜にしか見えなくて。内心ガッツポーズをしちゃいました」とおちゃめに笑う。高畑も「優ちゃんとの共演シーンはほとんどなかったけど、2人が会うシーンだけはちょっと心が穏やかになり、やっと手が差し伸べられたような感覚になれました」と安堵の表情を浮かべた。

本作では10代、20代、30代の女子の心情がリアルに綴られている。現在31歳となった蒼井は、20代をこう振り返った。「20代は氷の上を歩いているような感じでした。滑るし割れそうだし、ガシガシ歩けない気がしていて。でも、三十路街道に入った途端、急に『土だ!』と踏みしめたような感覚になれたんです。なんかもう単純に楽しくなりました」。

劇中では、女子高生集団が男たちをボコボコにするシーンが強烈なインパクトを放つが、蒼井自身も「17歳の頃は自分も無敵だなと思っていました」と述懐する。「でもいま思えば、17歳からの10年少しをいかに生きるかで、30歳になった時の開放感が違う気がします。よく女友だちと20代後半にやってくる第二思春期の話をするんですが、本作はまさに“第二思春期あるある”が詰まった映画になっているんじゃないかと」。

12月14日で25歳になる高畑は、まだ第二思春期の前。「この先どうなっていくかわからないけど、ずっと好奇心旺盛でいられたらなと。30歳までまだしばらく時間があるので周りの人を大事にして、流れに身を任せたいです。たぶん私も第二思春期の壁にぶち当たると思いますが、そうなった時に『落ち着け』と言ってくれる人が周りに1人でもいてくれたらいいなあと」。

また、高畑も自身の女子高生時代については「無敵でした」とうなずく。「自分という存在に自信がありました。でも少しずつ自分の弱点がわかってきて、自信もなくなっていくけど、その分楽ちんにもなってきました。できなかった時も『しょうがない』とか『ごめんなさい』と言えるようになったので。10代の頃はもっと自分を過信していたから、転んだ時も『転んでないもん』と思っていたんです。いまは転んでも『そのうち忘れるかな』と思えるようになってきたので、徐々に楽しくなってきました」。【取材・文/山崎伸子】

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