意外なところに狙いあり!夫婦合作映画成功の秘訣とは?
来年1月23日に公開される『サヨナライツカ』は、夫である辻仁成の小説を原作に、中山美穂が12年ぶりに女優復帰を果たした作品として注目を集めている。日本では、伊丹十三と宮本信子のコンビ(この場合、監督と女優のペアだが)をはじめ、夫婦合作映画には秀作が多く見受けられるが、海外ではちょっと問題のある映画が多いようだ。
有名なところで言えば、主演のマドンナとその夫であるガイ・リッチー監督が、揃ってゴールデンラズベリー賞を取ってしまった『スウェプト・アウェイ』(02)が挙げられる。公開当初から「ガイ・リッチーはマドンナに腑抜けにされた」と騒がれていた本作だが、やはり夫婦合作映画となると周りが見えなくなり、ついついおのろけが出てしまうのだろうか。
だが、それを逆手に取りヒットを記録した映画もある。スタンリー・キューブリック監督の遺作である『アイズ・ワイド・シャット』(99)は、当時夫婦だったトム・クルーズとニコールキッドマンが、そのままおのろけ夫婦を演じた事によって、不倫劇を際立たせることに成功していた。まさにキューブリック監督のしたたかな狙いと言えるだろう。
ちなみに『サヨナライツカ』も、結婚を間近に控えたエリートビジネスマンが、赴任先のバンコクで謎の美女と惹かれ合うさまを描いた不倫劇だ。イ・ジェハン監督は中山美穂の存在感にほれ込んで主演を熱望したそうだが、彼女からすると夫の作った不倫劇に自分が主演する事になったので、少々複雑な心境かも。そこにイ・ジェハン監督のしたたかな狙いがあったとしたら…なんて、ついつい想像してしまう。【トライワークス】
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