BEST MOVIES「映画人が選ぶ、ベスト映画2024」 - MOVIE WALKER PRESS
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「映画人が選ぶ、ベスト映画2024」

2024年にMOVIE WALKER PRESSを彩ってくれた方々を中心に、
2025年の新作プロジェクトにも期待がかかる
監督・俳優・映画人にアンケートを実施。
今年グッと来た映画またはテレビシリーズと
その理由も教えてもらいました。
回答は順次アップデート予定。気になる人の回答をお楽しみに!

※映画人の回答は順次アップデート予定です。

石野理子

石野理子

アーティスト、俳優

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最後の瞬間まで繊細で鋭利で、受け止めきれない衝撃を食らいました

『システム・クラッシャー』は、鑑賞中は息が詰まるほど苦しくなり、主人公ベニーの強い眼差しが忘れられませんでした。最後の瞬間まで繊細で鋭利で、受け止めきれない衝撃を食らい、彼女に最悪な体験さえなければ…と思った作品です。個人的には、近年注目しているクレプスキュール フィルムさんからも目が離せないなと感じた作品でもありました。『悪は存在しない』は、物語の展開や台詞が日本人からすると現実的で、アフターコロナに観たことで作品自体をとても身近なものに感じました。映像と石橋英子さんの音楽も洗練された美しさがあり印象的でした。『哀れなるものたち』は、監督らしさが全開の奇想天外な世界観に魅せられました。観終わったあとは爽快さもあり、エンタメとしてもおもしろくて、すごい!と思った作品です。

Profile

2000年生まれ、広島県出身。2014年より、グループアイドル“アイドルネッサンス”として活動を開始。一方で俳優としても活動しており、映画『ファーストアルバム』(16)では主演を務めた。2018年にアイドルネッサンスが解散し、同年5月から2021年まではバンド“赤い公園”の新ボーカルとして活動。バンド解散後、2023年からはソロ活動を開始し、同年にそれぞれがソロとして活動するメンバーで構成されたバンド“Aooo”を結成し、現在も活動を続けている。直近ではフジテレビ系のドラマ「パリピ孔明」(23)にて、諸葛孔明の密偵であるメガネ女子役で出演した。

上田慎一郎

上田慎一郎

映画監督

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いち映画ファンとしては喜ばしく、作り手としてはちょっと嫉妬も抱くすばらしい作品

ハイレベルな娯楽性と社会批評性を両立できている日本映画って、あまりなかったように個人的には感じていたんです。例としては、ポン・ジュノ監督の映画のような。その2つをついに両立させた映画が生まれたな、と感じさせてもらえたのが『ラストマイル』で、いち映画ファンとしては喜ばしく、作り手としてはちょっと悔しく嫉妬も抱く…すばらしい作品でした。しかも、普段はテレビドラマを作っている座組によって作られたのも考えさせられたところで、今後の日本映画の分岐点になり得るんじゃないかなとも思っているんです。『侍タイムスリッパー』は公開2日目、1館で1日1回の時点で劇場で観たんですけど、上映中に笑い声が起こって、エンドロールが終わって客電が点いたところで、舞台挨拶があるわけでもないのにスクリーンに向けて拍手が鳴り響いたんです。まさに、映画館で映画を観るからこそ味わえる“ならではの体験”をさせてくれる作品と出会えたうれしさがありました。『Chime』は、僕、黒沢清監督のファンでもあるんですけど、恐怖表現やホラーを極めた賢者による超おもしろい実験映画のように受けとめたんですよね。賢者が緻密に登場人物と映画そのものを壊したように見えるんですけど、それが世界の本質だよとも受け取れる内容になっていて。そういう意味でもすさまじい映画でした。

Profile

1984年、滋賀県出身。高校卒業後独学で映画を学び、2009年、映画製作団体を結成。10本以上の映画を監督し、国内外の映画祭で20のグランプリを含む46冠を獲得する。2018年に公開された、初の劇場用長編『カメラを止めるな!』は異例の大ヒットを記録し、その後『スペシャルアクターズ』(19)、『100日間生きたワニ』(21)、クリエイター支援プロジェクト『DIVOC-12』(21)などを経て、2023年に発表した縦型短編監督作『レンタル部下』が「TikTokShortFilm コンペティション」にてグランプリを受賞し話題に。内野聖陽・岡田将生出演の監督最新作『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』が現在公開中。

生方美久

生方美久

脚本家

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自分が(この作品の脚本を)書いた世界線にどこかで入れ替わらないかな(笑)

ぜったいこれ!没入して観ました。ラブストーリーとは打ちだしていないけれど、れっきとしたラブストーリー。テレビドラマだと“ラブストーリー”“コメディ”“お仕事もの”など、ジャンルをはっきりさせがちだけど、本作はそうではなく、ジャンルを主張しないところがいいなと思いました。役者さんも“色”がついてなくて本当にそこに存在しているように見えました。いいものを見ると「悔しい!」と嫉妬するのですが、まさにこの作品は自分が(脚本を)書いた世界線にどこかで入れ替わらないかなと思うほど(笑)。すごく良かったです。

Profile

1993年生まれ、群馬県出身。大学卒業後、医療機関で助産師・看護師として働きながら、2018年春ごろから独学で脚本を執筆。2021年に「踊り場にて」で第33回フジテレビヤングシナリオ大賞を受賞。連続ドラマ「silent」「いちばんすきな花」「海のはじまり」などの脚本を担当し、2024年は映画『アット・ザ・ベンチ』の第1編と5編の脚本を担当。

奥山由之

奥山由之

映画監督、写真家

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後頭部から鈍器で殴られるような衝撃を受けました

ヨルゴス・ランティモス監督作品はほぼ全作観ているほど好きで、『哀れなるものたち』には、後頭部から鈍器で殴られるような衝撃を受けました。ネオ・バロック的な映像表現のクオリティが高く、ベラの自己発見と社会からの解放を、多種多様な撮影手法とレンズ選び、グレーディング、そして緩急のある独特な音楽によって実現させている相当高度な作品だと思います。『ぼくのお日さま』は作品全体の佇まいから弟(奥山大史)そのものを見ているかのような、彼にしか作れない映画だと感じてとてもうれしかった。優しさと同時に鋭く怜悧な眼差しが突如現れるところが大史らしさの1つだとは思います。配信だと『Saltburn』も挙げておきたい!まずオープニングから素晴らしくて…。バリー・コーガンによる鬱屈としたモノローグの読み方、クラシカルで荘厳な音楽に対してリズミカルな編集、からの長回しのバックショット、何より最後にドンッ!と出るタイトルのフォントが不安感を最高潮に煽っていて、作品に一気に引き込まれるお手本のようなオープニングだと思います。

Profile

1991年生まれ、東京都出身。2024年に自身初となる監督作『アット・ザ・ベンチ』を公開。次回監督作に、新海誠の同名アニメーションの実写化『秒速5センチメートル』が控える。

ぐんぴぃ

ぐんぴぃ

芸人

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IMAXで観たのはすごい体験でしたね

今年は『ルックバック』になっちゃうなぁ…。あと、『サユリ』も最高!リバイバル上映していた『インターステラー』をIMAXで観て、とんでもなくおもしろかった! IMAXは音がデカすぎて、体がちょっと震えるんですよ。ロケットが発射するシーンも振動がヤバくて。『インターステラー』をIMAXで観たのはすごい体験でしたね。

Profile

1990年生まれ、福岡県出身。青山学院大学在学中は落語研究会に所属。卒業後はブックオフに就職し、店長を務めた店舗の売り上げを全国1位にまでアップさせた。退職後にお笑いコンビ「春とヒコーキ」を結成。2019年に受けた該当インタビューをきっかけに「バキバキ童貞」として知名度を上げ、YouTubeなどで人気を集めている。

清水崇

清水崇

映画監督

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監督業25年、未だわからない事だらけの映画作りが楽しくて仕方ないです!

『駆け抜けたら、海。』は屋外イベント、雨降る深夜の森の中で寒さに震えながら感動!!『ナミビアの砂漠』は監督のセンスと役者の才覚に打ちのめされ、ひれ伏した!『わたくしどもは。』は流石の富名監督!世界観/空気感が半端ない! 次点として…監督、脚本、主人公と、女性の活躍が爽快だった『ラストマイル』、観とどけるのが辛かった『ミッシング』、不思議な空気に心吸い込まれたノルウェーの映画『ヒューマン・ポジション』、終始ほくそ笑みが絶えなかった『化け猫あんずちゃん』と『階段の先には踊り場がある』、親子ともども快進撃が続く金子修介監督の『ゴールド・ボーイ』、“個”が粉砕しそうになる『フィクショナル』など…。インディーズ系や短編でも、何度観ても心洗われる『春の結晶』、ワークショップ制作とは思えない『LADY GO』、高校生が監督した『翔のいた夏』、“骨”にまさかのアイデンティティーを見出された『深骨』など…目から鱗…の作品に出逢えた。何故か、偶然にも今年は邦画ばかりでした。最後にホラーだと…『VOID』『ACID/アシッド』『クワイエット・プレイス:DAY 1』『オーメン:ザ・ファースト』。 2024年を振り返ると、拙作『あのコはだぁれ?』に湧いてくれた若人よ、ありがとう!監督業25年を越えましたが、怒涛の短期制作、完成~数週で公開!という不安だらけの初体験でしたが、ヒットしてくれて…未だわからない事だらけの映画作りが楽しくて仕方ないです。2025年も精進します!なるべく映画は映画館で!

Profile

1972年、群馬県出身。大学で演劇を学び、助監督を経て98年に監督デビュー。原案/脚本/監督のオリジナル企画「呪怨」シリーズ(99~06)はVシネや劇場版を経てハリウッドリメイク。日本人監督初の全米No.1に。近作に『犬鳴村』(20)、『樹海村』(21)、『牛首村』(22)、『忌怪島/きかいじま』、『ミンナのウタ』(共に23)。ホラー以外に『魔女の宅急便』(14)、『ブルーハーツが聴こえる/少年の詩』(17)、『ホムンクルス』(21)など。プラネタリウム『9次元からきた男』(16)が日本科学未来館にて上映中。2024年夏に公開された『あのコはだぁれ?』が大ヒットを記録。

笑福亭鶴瓶

笑福亭鶴瓶

落語家・俳優・タレント

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女優さんとしての変化を感じた作品ですね

石原さとみちゃんが、失踪した女の子の母親役を演じた映画です。さとみちゃんにお子さんができはってから久しぶりに出演された映画ですが、これまでとはまったく違う雰囲気の彼女を見て驚きました。女優さんとしての変化を感じた作品ですね。ものすごい迫力がありましたし、あの母親役にピッタリとハマっていました。僕は、さとみちゃんが10代のころにラジオを一緒にやりまして。その彼女がああいった壮絶な役をやられる女優さんになったんだなと、感慨深いものがありました。しかも本人から「こういった役をやりたい」と望んでやったということで、ものすごい覚悟を感じました。自分からそういうことを言えるというのは、すばらしいことですよね。

Profile

1951年生まれ、大阪府出身。72年、六代目笑福亭松鶴に入門。数多くのテレビ番組に出演する傍ら、『べっぴんの町』(89)、『母べえ』(08)、『夢売るふたり』(12)などの映画作品に出演する。『ディア・ドクター』(09)、『おとうと』(10)、『閉鎖病棟―それぞれの朝―』(19)では日本アカデミー賞優秀主演男優賞を、『ふしぎな岬の物語』(14)では日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞した。近年の主な映画作品に『99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE』(21)、『七人の秘書 THE MOVIE』(22)、『あまろっく』(24)などがある。原田知世と夫婦役を演じた主演作、『35年目のラブレター』が2025年3月7日公開予定。

染谷将太

染谷将太

俳優

  • 私のトナカイちゃん

    私のトナカイちゃん

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ご自身の体験を映像化してあの内容…ハンパないなって

Netflixシリーズ「私のトナカイちゃん」です。リチャード・ガッド監督が主演も務め、ご自身の体験を映像化してあの内容…ハンパないなって。ある種事件性のある実体験をエンタメにして昇華し、あれだけの称賛を浴びるってすごいですよね。ネガティブなできごとを自分の代表作にしてしまったという力がすごいなって思いました。

Profile

1992年9月3日生まれ、東京都出身の俳優。9歳の時に『STACY』(01)で映画初出演し、『パンドラの匣』(09)で長編映画初主演を務める。2011年、『ヒミズ』(11)で第68回ヴェネツィア国際映画祭の最優秀新人賞にあたるマルチェロ・マストロヤンニ賞を受賞した。その後、『悪の教典』(12)、「寄生獣」二部作、チェン・カイコー監督による日中合作映画『空海―KU-KAI― 美しき王妃の謎』(18)など多くの映画作品に出演。2024年は『陰陽師0』、『聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメン VS 悪魔軍団~』と話題作が続々と公開された。

津田健次郎

津田健次郎

声優・俳優

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「アニメでそんなことある?」というくらい、押山監督の執念を感じました

『オッペンハイマー』はIMAXで観ました。日本公開が米国より半年以上遅かった分、僕としても期待値がさらにアップしてたんですが、その期待値を超えてくる本気度で。すごくよかったです。『ルックバック』はもともと原作も読んでいたんですが、押山監督の執念を感じました。「アニメでそんなことある?」というくらい、お一人でものすごい量を描かれているんですよね。『シビル・ウォー アメリカ最後の日』は、日本公開のタイミングが、ちょうどアメリカ大統領選の直前でしたよね。実質、アメリカの内戦の話というよりむしろ、戦争に従軍しているカメラマンのロードムービーで。アメリカの分断を描いてる感じではなかったので、そこはちょっと物足りなさを感じたんですが、臨場感や迫力はすごかったです。

Profile

1971年生まれ、大阪府出身の声優・俳優。代表作に「テニスの王子様」の乾貞治役、「呪術廻戦」の七海建人役など。「スター・ウォーズ」シリーズでのカイロ・レン役など洋画作品での吹替えにも多数出演し、現在公開中の『クレイヴン・ザ・ハンター』では主人公・クレイヴン/セルゲイ・クラヴィノフ役を担当。待機作には『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』(12月27日公開)、俳優として『劇場版「トリリオンゲーム」』(2025年2月14日公開)など多数。

    
原田知世

原田知世

俳優・歌手

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恋や青春という言葉では表せないくらいの引き合わせを目にした気がしています

中国・香港合作の映画で、とてもすばらしい作品でした。進学校に通う主人公の女の子が、ストリートキッズである少年に出会う純愛の物語ですが、そのなかではいじめの問題や受験戦争など社会問題も浮き彫りとなります。孤独な2人が出会い、自分も相手を想い、相手も自分を想い、お互い同士だけで世界が成立してしまうくらい、強烈に惹かれ合っていく。恋や青春という言葉では表せないくらいの引き合わせを目にした気がしています。笑福亭鶴瓶さんと共演させていただいた『35年目のラブレター』でも夫婦の尊い愛を感じましたが、作品のタイプはまったく違えど、人との出会いによって生きる力やエネルギーをもらえることがあるんだと心が震えました。また主人公を演じたチョウ・ドンユイさんが、お芝居を超えていると思うような瞬間をたくさん見せてくれたことも印象的です。

  

Profile

1967年生まれ、長崎県出身。1983年、大林宣彦監督作・映画『時をかける少女』でスクリーンデビュー。以降、多数の映画やドラマに出演するほか、ドキュメンタリー番組などのナレーションを担当するなど幅広く活躍。また歌手としてもデビュー当時からコンスタントにアルバムを発表し、鈴木慶一、トーレ・ヨハンソン、伊願ゴローなど様々なアーティストとのコラボレーションが話題に。主な出演作に『落下する夕方』(98)、『サヨナラCOLOR』(05)、『紙屋悦子の青春』(06)、『しあわせのパン』(12)。近年では、『星の子』(20)、『砕け散るところを見せてあげる』(21)、『あなたの番です。劇場版』(21)などがある。笑福亭鶴瓶と夫婦役を演じた『35年目のラブレター』が2025年3月7日公開予定。

   
      
冬虫カイコ

冬虫カイコ

漫画家

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呆然自失でエンドロール観たのは初めてかもしれません

画面上では悲惨な出来事が起き続けているのに、空気はずっと乾いていて投げやりな諦観すら感じる。人間性やら友情やら善意やらそういうものを全部ひとつずつ捨てさせられる感じ。こんな気持ちで「ミッキーマウスマーチ」を聞くことって『フルメタル・ジャケット』のほかにないと思います。
『Pearl パール』はかわいいなと思ったところでとんでもないことをしだすし、ちょっと同情しかけたところで全然共感できないことをすごく情熱的に語り出す。パールがあまりにも強烈で、もはや農場から出てこないことを惜しく感じるキャラクターでした。
コメディとして観るには生々しすぎるし人間ドラマとして観るにはあまりにも悪夢めいている『ボーはおそれている』。最悪な「不思議の国のアリス」だ!とはしゃいでいたのも笑っていいのか笑えないのかもはやわからなくなっていたのも、全部最後に吹き飛ばされました。呆然自失でエンドロール観たのは初めてかもしれません。

Profile

インターネットを中心に活動する漫画家、イラストレーター。著書に2019年「君のくれるまずい飴 冬虫カイコ作品集」(KADOKAWA)、2022年-2023年「みなそこにて」全3巻(双葉社)、2022年「回顧 冬虫カイコ作品集」(GOT)。現在は主にCOMICMeDu(GOT)にて作品を発表している。2025年春に単行本刊行予定。MOVIE WALKER PRESSにて映画『イマジナリー』のイラスト&インタビューを掲載中。

宮川絵里子

宮川絵里子

映画・テレビプロデューサー

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いまの世界情勢などを考えると、さらに切なく響いた作品でした

パッと思いつくのはアレックス・ガーランド監督の『シビル・ウォー アメリカ最後の日』。いまの世界情勢などを考えると、さらに切なく響いた作品でした。あとはディズニープラスで観られるんですが、「SHOGUN 将軍」のFX が制作した作品で「ベター・シングス」というシリーズ。パメラ・アドロンという名バイプレイヤーの女優さんの企画で、彼女の自伝的フィクション作品です。シングルマザーが女の子 3 人をロサンゼルで働きながら育てるコメディタッチのドラマで、今年アカデミー賞候補とも言われているマイキー・マディソンなど俳優陣もすごくいいし、カメオでレニー・クラヴィッツが出演していたり豪華なんです。働くシングルマザーの心境をリアルに正直に描いてて、一気見しました!Apple TV+の「ザ・モーニングショー」もはまりましたね。エミー賞に行った時に、出演しているジェニファー・アニストンやリース・ウィザースプーンともお会いして。「SHOGUN 将軍」でエミー賞のドラマ部門ゲスト男優賞を受賞したネスター・カーボネルも出ているんです。思った以上に骨太でいわゆる「Mee too」運動の、職場のハラスメントといったグレーな部分を黙認するのか、加担するのか…そういったニュアンスが難しいところを正面から描いていて、すごいよかったです。

Profile

横浜出身。大学卒業後、アメリカの名門ジョージタウン大学外交学院に進学。その後 クェンティン・タランティーノ監督による『キル・ビル』(03)の現場通訳として働き、映画制作の道を本格的に志す。高い語学力と国際経験を生かし、共同プロデューサーとして参加したマーティン・スコセッシ監督の『沈黙-サイレンス-』(16)のほか、ソフィア・コッポラ、マーク・フォースター、チャン・イーモウ、ローランド・エミリッヒ、 オリバー・ストーンといった多くの世界的映画監督をサポート。最新プロデュース作品は、史上最多エミー賞受賞の快挙を遂げたFXによるドラマシリーズ「SHOGUN 将軍」。

土岡哲朗

土岡哲朗

芸人

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わからない映画なのに感動させられました

僕は『哀れなるものたち』と『ロボット・ドリームズ』、あと『Chime』も良かったですね。『哀れなるものたち』を観始めた時は「うわぁ意味わかんない映画観に来ちゃった」と思って…。なんか、エマ・ストーンがおしっこを漏らしていたり、ウィレム・デフォーが急に口から大きい泡吹いていて、「ダメだ、一つも理解できない!」と思ったんですけど、エマ・ストーンがなんで変な子なのかがわかった時に、「ああ、じゃあもうこの子の人生見届けなきゃって」なりました。こんなわけのわからない映画なのに、感動させられました。『ロボット・ドリームズ』は、オチ一発という映画でしたけど、めちゃめちゃ泣いちゃいましたね。『Chime』は、おかしくなった人が人を殺したりする映画なのに、その人がめっちゃ自分の生活を営むことを気にしているっていうのが気持ち悪くてよかったです。たぶん、世の中にいる犯罪者や、そこまでいかない人も含めて、変なことをしていても、自分の保身は考えるんだよなって。そこの生々しさが初めて見る感じで、気持ち悪かったですね。

Profile

1992年生まれ、栃木県出身。青山学院大学在学中には落語研究会に所属し関東落研連合の9代目総長も務め、学生落語全国大会「第4回てんしき杯学生落語トーナメント」で準優勝を果たした。大学卒業後、ニート生活を3年間続けたのち2017年にお笑いコンビ「春とヒコーキ」を結成。趣味は映画鑑賞。