ナンニ・モレッティ
Don Giulio
故郷のローマに戻って来た新米神父の姿を描く。製作はアキーレ・マンゾッティ、監督・脚本・原案はナンニ・モレッティ、共同脚本・原作はサンドロ・ペトラリア、撮影はフランコ・ディ・ジャコモ、音楽はニコラ・ピオヴァーニが担当。出演はナンニ・モレッティ、フェルッチョ・デ・セレサほか。1986年・第36回ベルリン国際映画祭にて銀熊賞(審査員特別賞)受賞。
ジュリオ(ナンニ・モレッティ)は、ローマに近い小高い丘から故郷ローマを眼下にみていた。新米神父として離島で数年間生活した彼は、今、家族のもとに戻ってきたのだ。ローマ郊外の教会に通うことになった彼は、さっそく翌日その教会を訪れるが、荒れ果てたその教会の様子に驚いた。初めてのミサの日、出席者が誰もいないことに疑問を抱いたジュリオは、前任者のアントニオ神父(ユージェニオ・マシャリ)が恋人を妊娠させて教区の人々の不信をかってしまったことを知った。順調ではなかったが、ジュリオは、新しい教区で自分の理想をかかげて、精一杯努力をした。学生時代に共に、新左翼に傾倒しその運動に力を注いだ友だちたち、サヴェリオ(マルコ・メッセリ)、チェーザレ(ロベルト・ヴェッツォーニ)、ジャンニ(ダリオ・カンタレッリ)、アンドレア(ヴィンチェンツォ・サレンメ)のそれぞれも、みな今は変わっていた。久しぶりに会ったサヴェリオは妻に逃げられ人間不信に陥っていた。ミュージシャンのチューザレはジュリオに洗礼を受けたいといいだし、書店を経営しているジャンニはアンドレアがテロリストとして刑務所に入っていると告げる。面会に行ったジュリオに、しかしアンドレアは無言だった。離島での平和な生活が一変した。町はマフィアが暴れまわり、教会の婚前講義では、未経験の彼はみなにばかにされた。ある日、父が訪ねて来て、ジュリオの妹ヴァレンチナ(エンリカ・マリア・モドゥーニョ)の友人マリアンナと愛し合うようになり家を出てゆくと告げた。家では急にふけた母が暗く沈んでいた。アンドレアの裁判では、裁判官の汚ないやり方に怒りを爆発させるジュリオ。やがてヴァレンチナは恋人の子を妊娠して中絶すると言い出した。今やジュリオの精神状態は限界に達していた。一番信頼していたジャンニが、さらにホモだとわかった。母の自殺……数日後、チェーザレの結婚式がジュリオの手で行なわれた。これを最後にこの地を去ろうと決意するジュリオ。ミサは終った。音楽に合わせて、チェーザレと花嫁が踊り出すと、友人らが“君はきっと帰ってくる”とでも言いたげに踊り出すのだった……。
Don Giulio
Don Giulio's father
Valentina
Don Giulio's mother
Saverio
Cesare
Gianni
Andrea
Antonio
Lucia
監督、脚本、原案
脚本、原作
製作
撮影
音楽
美術
美術
編集
字幕
[c]キネマ旬報社