【ミニシアターランキング】ホラーファン必見の注目作『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』がランクイン!1月24日~1月26日の成績を紹介
1月24日から1月26日までのミニシアターランキング(公開30館以下スタートの作品が対象)が興行通信社から発表された。今週は新作3本がランクイン。1位の『SK∞ エスケーエイト EXTRA PART』(公開中)は2021年に放送されて話題を集めた人気アニメの最新作だが、3月19日(水)に発売されるOVAに収められた4つの新たなエピソードをいち早く観たい大勢のファンが劇場に詰めかけたと思われる。2位に飛び込んだ『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』(公開中)は、第2回日本ホラー映画大賞・大賞受賞作の長編映画化。謎めいたポスタービジュアル、ホラー映画に精通した著名人たちの絶賛コメントが公開前から沸騰したことが、多くの映画ファンの獲得につながったに違いない。4位の『おんどりの鳴く前に』(公開中)にも同じことが言える。意味深なタイトルと、おぞましくも目が釘づけになってしまうポスタービジュアルがサスペンス映画ファンの心を鷲づかみにしたのは間違いないだろう。そんななか、公開7週目の『小学校~それは小さな社会~』(公開中)が3位に後退したものの大健闘!誰も気づかなかった着眼点のおもしろさが幅広い観客層から支持され、息の長いヒットにつながったようだ。
【ミニシアターランキングトップ5】(1月24日~1月26日)
1位『SK∞ エスケーエイト EXTRA PART』(NEW)
2位『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』(NEW)
3位『小学校~それは小さな社会~』(先週2位)
4位『おんどりの鳴く前に』(NEW)
5位『ストップモーション』(先週3位)
1位の『SK∞ エスケーエイト EXTRA PART』は、閉鎖された鉱山を滑り降りるスケートボードレース「S(エス)」のバトルに挑む高校生たちを描いた青春ムービー。テレビアニメでは主人公の暦とライバルたちの熱いバトルが展開されたが、今回の「EXTRA PART」は暦やライバルたちの普段の姿に迫る4つのエピソードで構成されているのが興味深い。スケートパークに行った暦たちが突然の雨に見舞われる「雨と猫 コンビニアイス ソーダ味」、なにかと張り合う桜屋敷と南城のバトルの行方を追った「本気(マジ)でマジになれること」、謎に包まれた愛之介と菊池の日常を紐解く「Morning Routine」、「S」界のアンチヒーロー・シャドウを名乗る広海の日常を見つめた「がんばれ広海ちゃん!」。どれもファンの心をくすぐる内容で、シリーズのおもしろさを間違いなく増幅させる。
全国15館スタートで、観客を選ぶホラー映画ながら2位にランクインした『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』は、テレビドラマ「イシナガキクエを探しています」の演出も手掛けた近藤亮太監督が第2回日本ホラー映画大賞の大賞を受賞した自らの短編をバージョンアップさせた長編劇場映画デビュー作。山でかくれんぼをしている最中に弟の日向が失踪してしまったという過去を持つ敬太(杉田雷麟)のもとに、ある日、母親から古いビデオテープが送られてくる。そこには日向がいなくなる瞬間の映像が映っていて…。そこから物語が大きく動きだす本作は、CGや特殊メイクなどでただ驚かすタイプのホラーと違い、映像と物語やセリフを周到に設計しながら、未曾有の恐怖を作り上げているのがミソ。
主要な登場人物は過去の呪縛から抜けだせない敬太と霊感を持つ同居人の司(平井亜門)、なにかに常に脅えている新聞記者の美琴(森田想)の3人。彼らが日向の失踪事件の謎に迫っていくのだが、そこでは幾つもの謎が映像とセリフでちりばめられ、観る者の興味と不安感を同時に煽る。日向が失踪した山奥の施設がどこにもなく、地図にも載っていないのはなぜなのか?敬太と司が山で知る恐ろしい秘密とは?さらに、彼らは山の麓にある民宿の息子が語った恐ろしい話に耳を傾けるうちに、あと戻りのできない恐怖の深淵に足を踏み入れていることに気づく。そこが、とてつもなく怖い。彼らがやがてたどり着く衝撃の結末はいったいなんなのか?1度観ただけでは理解できなくて、何度も劇場に足を運ぶリピーターも数多くいるに違いない。
4位の『おんどりの鳴く前に』は、ルーマニア北東部モルドバ地方の美しい自然に囲まれた辺境の村が舞台の衝撃ヴィレッジ・サスペンス。退屈な日々を過ごす中年の警察官イリエのささやかな夢は、果樹園を営みながら穏やかなセカンドライフを過ごすことだったが、平和なはずの村で頭を斧で割られた惨殺死体が発見されたのをきっかけに彼の人生は狂いだす。捜査に乗りだしたイリエは、のどかに見えた村の恐ろしい闇を次々に目の当たりにし、正義と欲望の狭間で激しく葛藤することになるのだ。果たして、この村の恐ろしい真の姿とは?すべてを知ったイリエがそこでくだす究極の決断とは?ルーマニア・アカデミー賞(GOPO賞)で作品賞、監督賞、主演男優賞など6冠に輝いた本作が、日本の限界集落でも起こり得る生々しい恐怖を叩きつけてくる。こちらの恐怖も、観た人にしか語れない!
続いて、今週末に公開予定のミニシアター映画をピックアップ!1月31日(金)にスペインの名匠ペドロ・アルモドバル初の長編英語作品『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』が登場!病に侵され安楽死を望む女性と彼女に寄り添う親友の女性の数日間をふたりのアカデミー賞女優、ティルダ・スウィントンとジュリアン・ムーアの競演でどんな風に描きだしたのか、期待が高まる。同日にはフランスの名匠アルノー・デブレシャンが映画の魅力と魔法を語り尽くす『映画を愛する君へ』も公開。ストレートなこのタイトルに惹きつけられ映画ファンはまずいない。来週のランクインは確実と言ってもいいだろう。
公開規模は小さいものの、映画ファンに愛されて続け話題性の高い良質な映画作品を鑑賞できるミニシアターに足を運んでみてはいかがだろうか。現在、全興連ミニシアター支援プロジェクト「#ミニシアターへ行こう」では、応援したい映画館の魅力を紹介してくれる公式アンバサダーを募集中。自身のYouTubeチャンネルやSNSアカウントを通じてミニシアターを紹介し、劇場救済に協力してもらおうという試みとなる。応募条件等詳細は公式アンバサダー募集ページをチェック!
文/イソガイマサト