リザ・ガストーニ
Eliane
ブルジョア女性をモノにし、彼女達のすむ階級へ復讐する下男の行動を描く。製作はシルヴィオ・クレメンテッリ、監督は「青い体験」のサルヴァトーレ・サンペリ、脚本はオッタヴィオ・ジェンマとS・サンペリ、撮影はヴィットリオ・ストラーロ、音楽はリズ・オルトラーニが各々担当。出演はリザ・ガストーニ、フランコ・ネロ、レイモン・ペルグラン、アンドレア・フェレオル、クラウディオ・マルサーニなど。
ヒツトラーの軍隊が侵入してくる数カ月前のフランスはプロバンスの5月。女盛りのエリアーヌ(リザ・ガストーニ)は薬局を経営、夫アンリー(レイモン・ペルグラン)は大学教授であり、町の名士である。2人には15歳の娘ジュスティーヌ(クラウディオ・マルサーニ)がいた。ある日、店の雑役夫アルマン(フランコ・ネロ)が、女店員ジュリエット(アンドレア・フェレオル)とまちがえ、エリアーヌを暗闇で抱いてしまったことから、スキャンダルは始まった。すでに夫との性交渉のないエリアーヌは、アルマンを怒ったが、彼女には彼の肉体が忘れられない。名士夫人としてたかが下男に、と思っても肉体は無意識に……。それに感づいたアルマンはある夜、エリアーヌにむりやりフェラチオをさせた。以来、彼女はアルマンの愛の奴隷と化し、主従関係は逆転してしまう。一方、アルマンはジュリエットとも関係を続け、2人の情事をエリアーヌは目撃した。嫉妬する彼女。アルマンはジュリエットの前で、エリアーヌに裸になれ、と命じる。屈辱にたえるエリアーヌ。翌日、アルマンは店を辞めた。だが、彼を忘れられないエリアーヌは、ジュリエットに彼を連れ戻しにやらす。やがて、勝ちほこった笑顔で帰ってくるアルマンは、再びエリアーヌに精神的拷問を加えた。彼のSEXを得るため店の前で裸で娼婦のように立つエリアーヌ。今や理性などない彼女は、それがスキャンダルになろうとも、彼との激しい性の歓びさえあればよかったのだ。さらに、アルマンはジュスティーヌにも接近する。狂乱して反対するエリアーヌは、ついに夫にすべてを告白するが、アンリーは涙を浮かべるだけであった。パーティの席上ではエリアーヌと下男アルマンのスキャンダルがささやかれる。そんなある日、アンリーの大切なコレクションをこわしてしまったジュスティーヌは叱られ、それを機に彼女はアルマンに近づいていく。絶望の底のエリアーヌは毒薬をあおった。折しも空襲は激しさを加え、ブルジョワ階級は戦争と共にその姿を崩壊しつつあった。
[c]キネマ旬報社