『ル・ヌーヴェル・オブセルグァトゥール』誌で報じられた実話をもとに、“団地生活と売春”をドキュメント的に描きながら、フランスの社会的状況をえぐり出した作品。製作代表にはアナトール・ドーマンがあたっている。監督はジャン・リュック・ゴダール。脚本はカトリーヌ・ヴィモネのアンケート“団地の売春”を参考にゴダール自身が執筆。撮影は「アルファヴィル」のラウール・クタール、録音はルネ・ルヴェール、編集はフランソワーズ・コランがそれぞれ担当。音楽はベートーベンを使用。出演は、「夫婦」のマリナ・ヴラディ、ほかに、アニー・デュプレー、ロジェ・モンソレ、ラウール・レヴィ、ジャン・ナルボニ、ジョゼフ・ジェラール、ブランディーヌ・ジャンソン、ジャン・ピエール・ラヴァルヌ、ジュリエット・ベルトなど。イーストマンカラー、テクニスコープ。
ストーリー
彼女……バカンスの中に気だるく眠るパリ。一九六六年の八月のパリは、バリケードも、投石も、火焔瓶もまだ知らず、やがてくる激動をそのまま負に裏返したように、人気もない、奇妙な静寂の中にいた。このたゆとう眠りの中でいま動いているのは、新首都圏拡張整備計画にもとづく公団住宅地帯の建設を進行する、ブルドーザーの音だけだ。低く聞えてくるゴダールのコメンタリーをぬってジュリエット(M・ヴラディ)の生活が示される。彼女はパリ郊外の公団住宅に住む人妻。夫のロベール(R・モンソレ)はガソリン・スタンドに勤め、月給は八万そこそこ。子供は二人、息子のクリストフ(C・ブルセイユ)と娘のソランジュ(M・ブルセイユ)の幼ない兄妹。夫のロベールは無線好きで、今朝も友人のロジェ(J・ナルボニ)と一緒に、無線の受信に夢中になっていた。ジュリエットは売春をしている。昼間、ジェラール氏(J・ジェラール)のいる売春宿に出かけ、そこを託児所がわりに子供を預け、買物に歩いたり、行きつけのカフェで男を探したりする。若い男(Y・ブネイトン)を安ホテルへつれこみ、一仕事をする彼女。その後で、ヴォーグという店で、気に入ったワンピースを買い、美容院に出かける彼女。その美容院に勤めるマリアンヌ(A・デュペレイ)に、アメリカ人(R・レヴィ)から誘いの電話が入り、ジュリエットも一緒に遊びに行こうと誘われる。マリアンヌと出かけることにしたジュリエットは、夫を近くのカフェに待たせる手筈をととのえて、アメリカ人のいるホテルへ。パリには、ベトナム帰りの米兵やジャーナリストが大勢いて、彼等はジュリエットが想像もしないような大金を彼女たちに払う。ジュリエットとマリアンヌは、頭にトランス・ワールド・アメリカ航空とパン・アメリカンの航空バッグをそれぞれかぶり、室内を歩きまわる。その間、ロベールはカフェで隣のテーブルに座りあわせた女の子とセックス談義。また、近くのテーブルでは、女学生(B・ジャンソン)と作家(J・P・ラヴァルヌ)が、盛んに社会問題などについて論議中。やがてジュリエットとロベールは、そろってアパートに帰還。夜、子供をねかしつけた二人は、ベッドに入る。そして、二人は口論をくりかえしながら、読書をつづけている。静かに、ゴダールの声でナレーションかかぶる。「……私はゼロの地点までもどった。そこから出発するべきなのだ。」
キャスト
桃井かおり
原田喧太
高垣健
渡邉俊夫
奈良敏博
マリナ・ヴラディ
Juliette Janson
アニー・デュプレー
Marianne
ロジェ・モンソレ
Robert Janson
ジャン・ナルボニ
Roger
ラウール・レヴィ
The American
ジョゼフ・ジェラール
Gerard
ブランディーヌ・ジャンソン
Student Girl
ジャン・ピエール・ラヴァルヌ
Author
ジュリエット・ベルト
The Girl who speak to Robert
イヴ・ベネトン
Young Man
コラム・インタビュー・イベント
ニュース
作品データ
- 原題
- 2 Ou 3 Choses Que Je Sais D'Elle
- 製作年
- 1966年
- 製作国
- フランス
- 配給
- フランス映画社=創造社
- 初公開日
- 1970年10月3日
- 上映時間
- 90分
- 製作会社
- アヌーシュカ・フィルム=アルゴ・フィルム=レ・フィルム・デュ・キャロッス=バルク・フィルム
- ジャンル
- 社会派
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