音楽
一九五五年に結ばれた仏ソ文化協定によって、コメディ・フランセーズやテアトル・ナショナル・ポピュレールのモスクワ公演が行われ、フランス映画祭が開催された。そして、翌五六年秋から五七年にかけて、イヴ・モンタンが愛妻シモーヌ・シニョレとともに、モスクワ、レニングラード、キエフを訪れてリサイタルを開いた。これはその公演を、仏ソ両国映画界が協力して、多くの映画人の手によって撮影した記録映画である。モンタン、シニョレの二人が画面にナレイションを入れている。歌う場面だけではなく、ソヴィエトにおける二人の生活や、民衆との接触ぶりが、フィルムにとらえられる。日本では二部に分けて上映され、第一部は58年に「女の一生」と、第二部は59年に「可愛い悪魔」と同時に公開される。ボブ・カステラ楽団のアンリ・クロラ(ギター)、ロジェ・バラボスキ(ドラム)、エマニュエル・スーディウ(ベース)、マルセル・アゾーラ(アコーディオン)、ユベール・ロスタン(クラリネット)、ベニー・ヴァスウル(トロンボーン)が現地に同行して伴奏を担当した。ボブ・カステラ自身はピアノをひいている。
ストーリー
<第1部>空路モスクワについたモンタン夫妻は、翌日から練習にかかり、まず三千名収容のチャイコフスキー劇場で次の三曲を歌う。「グラン・ブルヴァール」ジャック・プラント作詞・ノルーベル・グランズベール作曲の一九五一年に作られた、パリの大通りを歌った歌。「兵隊が戦争に行く時」フランシス・ルマルク作詞・作曲の行進曲風な、戦争の非情を歌った戦争否定の歌。一九五二年の作。「サルタンバンク」(サーカス)ギョーム・アポリネールの詩をルイ・ベシェールが作曲した小さな旅まわりサーカスの歌、一九五二年に作られた。次にモスクワ大学講堂で学生のために歌う。「毛皮のマリー」ロジェ・ヴァルネー作詞・マルク・エイラール作曲の五六年作の歌、落ちぶれて今は古ぼけた毛皮をまとうマリーを歌っている。ついで職業専門学校で「パリの悪戯っ子」。ミック・ミッシェル作詞・アドリアン・マレス作曲のパリの悪戯っ子の歌、五一年作。そして、三万人の聴衆を前に、国立体育館で四曲。「枯葉」ジャック・プレヴェールの詩をジョセフ・コスマが作曲した。周知の名曲、四七年の作品。「ジャズ狂」四六年頃の作品で、エディット・ピアフ作詞・エドアール・シェックレール作曲のジャズ狂の生態をリズミカルに歌った歌。「巴里のフラメンコ」レオ・フェレ作詞・作曲のカンテ・フラメンコ風の歌、五二年の作。「ルナ・パーク」ジャン・ギゴ作詞・ルイ・ガステ作曲、四五年作の今はない遊園地ルナ・パークを歌う歌。 <第2部>リチャホフ自動車工場で、「トラック運転手」フランシス・ルマルク作詞・作曲の五二年に作られた、パリ=マルセイユ間の定期便運転手の歌、芸術家の家での歓迎会で、「パリで」フランシス・ルマルク作詞・作曲のパリを讃える歌、四八年ヴァンサン・スコット賞受賞作、を歌って公演はレニングラードに移る。発動機工場でまず一曲。「愛してる」アンリ・クロラ作詞・作曲の五三年作、ワルツ調の恋の歌、クロラ自身が伴奏している。レニングラード劇場公演で三曲。「指揮者は恋している」ジャック・マルイユ作詞・ジョルジュ・リフェルマン作曲の五三年作、恋のためおちぶれた、指揮者のユーモラスな歌。「ブロードウェイの靴磨き」ジャック・プレヴェールの詩をアンリ・クロラが作曲した四五年頃の歌。「セ・シ・ボン」ジャン・ギゴ作詞・アンリ・ベッティ作曲の有名な一曲、四七年作。最後のキエフでのオペラ劇場では二曲が歌われた。「闘うジョー」ジャン・ギゴ作詞・ルイ・ガステ作曲の四五年作、拳闘選手のはかなさを歌ったもの。「暁に」フラヴィアン・モノー作詞・フィリップ・ジェラール作曲の、一日のはじまり、暁を歌った歌。五一年の作品。こうして歌手イヴ・モンタンのソヴィエト公演は成功裡に終った。
スタッフ
音楽
アンリ・クロラ
音楽
ロジェ・バラボスキ
音楽
エマニュエル・スーディウ
音楽
マルセル・アゾーラ
音楽
ユベール・ロスタン
音楽
ベニー・ヴァスウル
音楽
ボブ・カステラ
歌
イヴ・モンタン
字幕
野口久光
コラム・インタビュー・イベント
ニュース
作品データ
- 原題
- Yves Montand chante Chansons de Paris
- 製作年
- 1957年
- 製作国
- フランス
- 配給
- 東和映画
- 初公開日
- 1958年12月
- 製作会社
- ドーフィヌフィルム
[c]キネマ旬報社