トニー・ザイラー
Hans Haller
ドイツ・オーストリア映画界のベテランといわれているゲザ・フォン・ツィフラが脚本を書き、自ら監督した作品。撮影はウィリー・ウィンターシュタイン、美術は新人のレオ・メッツェンバウアー、音楽はミハエル・ヤリーがそれぞれ担当している。出演者は「ザイラーと12人の娘 白銀は招くよ!」のトニー・ザイラー、フィギュア・スケートの選手権保持者だったイナ・バウァーのほか、オスカー・ジマ、ギュンター・フィリップなど。アグファカラー・ウルトラスコープ。
若い舞台装置家のハンス・ハラー(トニー・ザイラー)はスキーが得意な一方、アイス・ホッケーの選手でもある。ある日、町のアイス・パレスでホッケーの練習を終えた彼は、そこで、一人の若い女性がみごとなスケートを見せているのをたまたま見かけ、その美しさにうたれる。彼女はこのパレスの持主ケーニヒ氏(オスカー・ジマ)の姪インゲ(イナ・バウァー)で、選手権めざして練習にはげんでいるところだった。ハンスは初心者をよそおって、彼女にスケートをコーチしてもらうことに成功するが、もちろん、目的はスケートではなく、彼女のハートである。ある日、彼女の望みが、実はミュージカルのスターになることでありそのためにひそかにエンゲルベルト教授(パウル・ヘルビガー)のもとに声楽の勉強にかよっていることを知ったハンスは、自分が劇場に働いていることをつげ、訪ねてくるようにすすめる。その翌日、劇場へ行った彼女は支配人室に通され、いきなり次の公演の主役にと契約までかわしてしまう。さらに、テストを受けたところが、美声と美貌とで成功大鼓判という夢のような話である。一座も彼女をむかえて活気づく。ところが、これがとんだ手違い。実は劇場の所有者ミーフケ氏(ギュンター・フィリップ)は自分の愛人ミア(ルース・ステファン)を主役にすることを条件として、不入り続きのこの劇場に出資することをOKしたのである。要するに支配人がただハンスを訪ねてきただけのインゲをてっきりミアだと思ってしまった感ちがいだった。一切の誤解がとけると当然ながらインゲはお払い箱。才能の全くないミアが主役になったが、インゲの才能をおしんだ演出家が一計を案じて、彼女をそっと練習させ、晴れの舞台では、主役を二人登場させることにしてしまう。自分の愛人が舞台で笑い者になっているのを見たミーフケ氏は怒って劇場を閉鎖する。一座はそこでそのまま演し物「五色の風船」を氷上ショウにきりかえ大成功。ハンスとインゲはスターとなる。もちろん、二人の恋も実を結ぶ。
Hans Haller
Inge Konig
Hermann Konig
Knapp
Josef
Miefke
Mia
Professor
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