ジェーン・フォンダ
ルネ
エミール・ゾラの原作をロジェ・ヴァディムとジャン・コーが共同で脚色、「輪舞(1964)」のロジェ・ヴァディムが監督した。撮影は「皆殺しのシンフォニー」のクロード・ルノワール、音楽はジャン・ピエール・ブルテールとJ・ブシェティーが共同で担当。出演は「キャット・バルー」のジェーン・フォンダ、「スタンダールの恋愛論」のミシェル・ピッコリ、「クレタの風車」のピーター・マッケナリーほか。製作はジョルジュ・バロン。
サッカール家の広大な屋敷はパリ郊外にあり、うっそうと繁った木立に囲まれた建物は、古風な美しさを備えていた。若く美しいルネ(J・フォンダ)は二十も年上の男アレクサンドル(M・ピッコリ)と結婚していた。彼は工業プロモーターで旅行がおおかった。ルネは莫大な遺産を相続していて、彼とはカナダで知りあった。ルネは家庭とカナダから逃がれるため、アレクサンドルは金のために結婚したのだった。アレクサンドルは社交界で周囲の人々を魅了するルネに満足していたが、家庭でのふたりの間には、最近夫婦の交わりがなかった。アレクサンドルの先妻の息子マクシム(P・マッケナリー)は、そんな父母の関係を気にもとめず、勉学のかたわら、中国人の教師について中国語を習っていた。ルネは気軽く彼を学校へ迎えに行ったり、悩みを打ちあけた。若いふたりの親しさはやがて淡い愛に変化していった。それでもふたりの間には危険な関係が起るようには見えなかった。だがある日アレクサンドルの留守中、マクシムは父親が毎年催す仮装舞踏会のためのジンギス・カンの衣裳を着て、日光浴をするルネを驚かした。ふたりのたわむれは、いつしか真剣さを加え、情熱に身をまかせるのだった。アレクサンドルが数日旅行することになり、ふたりの関係を知らない彼は留守中ルネとマクシムの田舎への旅行を快く承知した。清々しい田園の中でふたりの愛は深まり、女の歓びを知ったルネは盲目的となっていた。ある晩ルネはアレクサンドルに離婚を申し出た。その頃事業が苦境にあったため、彼は全財産の管理権とひきかえに離婚を承諾した。その手続きでルネがジュネーブへ行っている間、アレクサンドルはマクシムと金持の娘アン(T・マルカン)の婚約をはかった。その報に接したルネの心は凍った。自殺しきれなかったルネは夢遊病者のように、仮装舞踏会にわくサッカール家に入っていった。青白い顔は凄惨な色を浮かべ、もはや狂人のようであった。
ルネ
マキシム
アレクサンドル
アンヌ
Monsieur Sernet
Madame Sernet
Eva Saccard
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