キャロル・ホワイト
ジョイ
女流作家ネル・ダンのベストセラー小説を、彼女とケン・ローチが脚色、TV出身の新鋭ケン・ローチが監督した。撮影はブライアン・プロビン、音楽をフォーク歌手ドノヴァンが担当している。出演は、この映画でチェコのカーロビ・バリ映画祭で主演女優賞を獲得したキャロル・ホワイト、「血と怒りの河」のテレンス・スタンプ、他にジョン・ビンドン、ケイト・ウィリアムスなど。製作は「ダーリング」「遥か群衆を離れて」のジョゼフ・ジャンニ。
産院で生んだばかりの赤ん坊を抱いて、ジョイ(C・ホワイト)は、貧しいアパートに帰ってきた。夫のトム(J・ビンドン)は、やくざで泥棒だった。そんなトムと、安酒場の女だった母親同様に少女の頃から酒場をうろついていたジョイは、分別もなくただなりゆきで結婚をしたのだった。身勝手で横暴なトムとの生活を、後悔することもあったが、彼が盗んでくる金で生活できる間はまだよかった。だが、トムが計画した金庫強奪が失敗に終り、トムは刑務所に送られた。ジョイは赤ん坊をつれてエム伯母の汚ないアパートにころがり込んだ。人生、楽しめるうちが花、と伯母は毎夜、厚化粧して遊びあるいていた。ある日、トムの仲間で、事件の時うまく逃げおおせたデイブ(T・スタンプ)がジョイを訪ねて来た。デイブはトムと違ってやさしかった。ジョイはデイブに好感を持ち一緒に暮らすようになった。ジョイにとっては、生まれてはじめての幸せの日々だった。が、この幸せも長くは続かなかった。宝石強奪が発覚、デイブもまた刑務所行きとなった。ジョイの生活はまた振り出しにもどった。生きるためジョイは安酒場につとめ、やがて同僚ベリルにさそわれるままに、ヌードモデルとなった。疲れきって、淋しい毎日のジョイにとって唯一のなぐさめは、刑務所のデイブに手紙を書くことだった。ジョイはトムと離婚し、デイブの立派な妻になろうと決心していた。しかし、ジョイは一人では生きて行けない女だった。男の誘いにジョイは、その身をまかせた。そんなある日、突然トムが帰ってきた。拒絶することができないままに、ジョイはトムに従った。また、前の生活に、ジョイは戻った。トムは相変らず怠けもので、気にいらないとジョイを殴った。「私の生きがいは子供。愛しているのはデイブだけ」そうつぶやきながらも、ジョイは、トムとの生活を続けていくのだった。
ジョイ
デイヴ
Tom
Beryl
Aunt Emm
Trixie
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