チャールトン・ヘストン
Nebil
細菌戦争の被害から、唯一人まぬがれた男が、異様な生き残りの一団によって呪いの追撃を受けるというSFアクション。製作は「ナンバー・ワン物語」のウォルター・セルツァー、監督は「フロリダ万才」のボリス・シーガル、脚本はジョン・ウィリアムとジョイス・フーパー・コリントンの共同、撮影は「モダンミリー」のラッセル・メティ、音楽は「いつも心に太陽を」のロン・グレーナー、編集はウィリアム・ジーグラーが各々担当。出演はチャールトン・ヘストン、「オール・アメリカン・ボーイ」のロザリンド・キャッシュ、「ウィル・ペニー」のアンソニー・ザーブ、「バニシング・ポイント」のポール・コスロなど。
中ソ細菌戦争によって世界中に疫病が蔓延し、ここロスアンジェルスも目をおおうばかりの惨状を呈していた。生き残りの科学者ロバート・ネビル(チャールトン・ヘストン)は自分の住宅と研究室のあるビルの地上駐車場で、突然、黒衣の男たちに襲われた。なんとか撃退して、部屋に帰りついた彼は、窓の外から投げかけられる呪いの言葉を聞いた。黒衣の男たちの声だ。地球上に細菌がはびこる直前、ネビルは、病院の研究室で中ソ険悪化ムードを伝えるテレビニュースを見ていた。ニュース解説は、今窓外で黒衣をつけ、肌ばかりか、髪も目も透きとおるように白い異形の家族のリーダー、マサイアス(アンソニー・ザーブ)である。その時、電話が鳴り、ネビルが開発し、医学界の注目を集めていた対疫ワクチンの輸送命令が入った。ところが途中ヘリコプターが墜落、一命をとりとめたネビルは、一瓶だけ破壊されずに残ったワクチンを体内に注射し、おかげで、間もなく始まった細菌戦争の惨禍を免れ、生き残ったのであった。マサイアス一家は、火焔放射器を使ってネビル攻撃を始めたが、いきなりあてられた巨大なスポットライトの光を浴びて、あわてて退散した。彼らは体質的に光に耐えられないのだ。ネビルは、マサイアス率いる家族を追って町に出た。洋品店をのぞきこんだネビルは黒人の娘を発見した。あの悲劇の日以来、久しぶりに出会ったホンモノの人間である。しか、黒人娘は突然姿を消し、ネビルは追跡に疲れてバーに立ち寄った。かすかな物音に地下の酒蔵におりたネビルは待ち構えていた家族に捕らえられてしまった。さっそく裁判にかけられたネビルは、“医学・化学・兵器・機会・電気”の罪を負わされ、大きなスタジアムの杭にしばりつけられてしまった。しかし処刑寸前、いきなりまばゆい光が広場を照らし、光に弱い家族は逃げ出し、ネビルは危地を脱した。救助してくれたのはダッチ(ポール・コスロ)という若者で、彼に案内された場所にはあの黒人娘リサ(ロザリンド・キャッシュ)がいた。三人が辿り着いた家にはさらに8人の奇跡的な生き残りがいた。しかしすでに菌に侵された彼等には、いつ病状の悪化が訪れるかという不安がつきまとっていた。その恐れていた病状の悪化を顕著に見せたリサの弟リッチーは、ネビルが自分の血で作った血清によって救われた。リッチーは例の家族に、ネビルの血清によって救われると説得したが、熱意もむなしくマサイアスによって射殺されてしまった。ネビル捜索に出かけた家族と偶然会ったリサは、ネビルが恐れていたとおり疫病に侵された我が身を見て、敵方にまわった。再び、自分の研究室を破壊にかかっている家族と闘ったネビルはリサと一瓶の血清を抱えて町へ飛び出した。しかしマサイアスの執拗な呪いは、ネビルを逃さなかった。マサイアスの投じた槍は、見事ネビルを貫いた。そして残された血清によって、人類はかろうじて絶望的な死滅の危機をまぬがれた。
監督
脚本
脚本
製作
撮影
音楽
編集
字幕
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