子供たちにとっての宿題とは何かを問いかけることを通して、現代イランの小学校教育と社会の問題をさぐる映像リサーチ。監督・インタヴュアー・美術・編集は「クローズ・アップ」「オリーブの林をぬけて」のアッバス・キアロスタミで、同監督が一躍国際的な注目を浴びた「友だちのうちはどこ?」の次作にあたる。撮影はイラジ・サファヴィ、モハマド・リザ・アリゴリ、録音はアハマッド・アスカリがそれぞれ担当。撮影は87年に、テヘランのジャヒッド・マスミ小学校で行われ、メインとなるのは小学校の一室に設けられた仮設スタジオで撮影された、キアロスタミ監督自身による子供たちへのインタヴュー。子供の話と、保護者を対象に行ったアンケートで、全体の四割弱にもおよぶ親が非識字者で子供の宿題をみてやれないこと、また教育のある親でもイスラム革命で教育システムがまったく変わってしまったために話が通じず、勉強を教えようとすると逆に混乱すること、それに家庭教育ではかなり激しい体罰がまだ横行していることなどが明らかになる。また暗記中心の詰め込み教育で、宿題の量も多く、子供たちにはかなりの負担になっていることが分かってくるといった内容が語られている。
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