津川雅彦
白戸勉吉
白川渥の原作を「続社長道中記 女親分対決の巻」の笠原良三と「ひとり寝」の富田義朗が共同脚色、「快人黄色い手袋」の市村泰一が監督した青春明朗篇。撮影は川原崎隆夫。
山陰の城下町松江に赴任してきた新米教師白戸勉吉は、若い同僚の一色次郎の紹介で若い校医左近節子の隣家に下宿した。青田、石黒、三上らイタズラ盛りの生徒に迎えられて、失敗ばかり、風来先生という仇名までつけられてしまった。或る日、書庫でこっそりと喫煙中の悪童連をみつけた勉吉が、反抗した石黒を軽く突いたところ、石黒が軽傷を負うという事件がおきた。教頭一派と組んで校長追い出しを企む石黒の父はPTAの委員で、この事件を大げさに取上げた。しかし、息子の石黒が正直にカスリ傷と証言、正義派の校長も石黒の辞表を握りつぶしたため大事にはならなかった。節子の妹万里子は、そんな勉吉に思いをかけていた。そんなこととは知らない勉吉は、一色から万里子に対する愛を打ち明けられその橋渡しを頼まれた。万里子は一色からの愛情を勉吉から聞き、落胆の余り海へ飛びこんだ。びっくり仰天の勉吉は万里子を救けて人工呼吸を行った。万里子に淡い恋心をもつ生徒の青田がこれを目撃、写真に撮って教室に貼りだした。石黒も好機到来とばかり、桃色行状記として赤新聞に書かせた。女の上に馬乗りになった勉吉の写真で大騒ぎとなってしまった。教員とPTAの合同会議で、勉吉と校長はさんざん吊し上げられた。傷心の勉吉は飲み屋でヤケ酒を呻った。その時、歴史の山中先生が飲み屋に入って来た。その山中から教頭達の陰謀を聞かされた。それを知って激怒した勉吉は、水月荘で密談中の教頭達を殴り倒した末、辞表を校長に届けた。校長は翻意をすすめ、反省した青田が勉吉の助命嘆願の署名を集めるという感激的な場面もあったが、あくまで勉吉は責任をとるつもりだった。数日後、「君は学校のためにも校長のためにも良い教師ではなかったが、生徒のためには誰にも負けない良い教師だった」というはなむけの言葉を校長からうけた勉吉は、短大に入るという万里子と一緒に東京へ向うのだった。
白戸勉吉
左近万里子
左近節子
丹沢校長
土井垣日出夫
一色次郎
伊之坂教頭
五島助五郎
石黒修三
北川先生
校長夫人
長女松子
土井垣の母
高校生新庄雪枝
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