河津清三郎
志津野一平
渡辺肇の原作から、「火の女」の高岩肇が脚本を書き、新人野口博志が第一回作品として監督する。撮影は「人生劇場 望郷篇 三州吉良港」の永塚一栄、音楽は仁木他喜雄の担当。出演者は「幽霊男」の河津清三郎、「若い人たち」の日高澄子、「お月様には悪いけど」の津村悠子、「女性に関する十二章」の伊豆肇の外、朝美矢子、星野みよ子などである。
旅客機のステュワデス植田幾子は、乗客の中年の紳士から大型の高価なライターを贈られた。その夜、幾子はナイトクラブ・グロリアで自分の結婚を祝ってくれた友人の萩原みどりと暴漢に襲われたが、興信所の青年所長志津野一平に救われた。翌朝、一平は幾子が夜半アパートの屋上から酔って墜死したことを知って疑いを持った。一平は続いてみどりのアパートを訪れたが、行方不明だった。幾子の可愛がっていた健坊は、幾子姉さんが殺されるのを見たと云う。みどりの行方を探す一平は、グロリアで京子という女と知り合った。グロリアを出た一平は、怪しげな真田という男に棒の一発をくらって気絶した。気がつくと彼は京子に介抱されて居り、以後彼女は一平の助手になった。間もなくみどりの溺死体が発見された。彼女が麻薬患者であったことが、ヒントを与え、麻薬団の本拠にのりこもうとした。健坊は、幾子を殺したのが松葉杖の男だと云った。彼は健坊をも殺そうとつけ狙っているのだった。真田は一平の助手山中を射殺したが、真田はまた松葉杖の男に射たれてしまった。偶々一平がグロリアで京子と踊っている時、何者かに射たれた。だがその時、例のライターが彼を救った。二つに割れたライターのキャップから紙片が飛び出し、それによって麻薬密輸団の本拠をつきとめ、彼等を全滅させた。京子は実は密輸団のボスとして一平に近づいたのだが、彼を本当に愛する様になり、危いところを彼の命を救ったのであった。「待ってるよ」という一平の言葉を聞いて、彼女は警視庁の階段を上って行った。
志津野一平
加賀美京子
健坊
健坊の母康子
山中雄一郎
真田猛
高見真之介
五島巡査
浜崎警部
萩原みどり
植田幾子
松葉杖の男
鼻眼鏡の男
公一
グロリアのマスター
病院の医師
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