相馬千恵子
高木花江
製作は「白虎」「こんな女に誰がした」のマキノ満男。企画は「わが子ゆえに」(マキノ満男と協同)の坪井与。「月よりの使者(1949)」の八田尚之の脚本で「女の闘い」につぐ千葉泰樹が監督する。キャメラは「今日われ恋愛す」(渡辺公夫と協同)の三木滋人が担当。出演は「大江戸七変化」の相馬千恵子「白虎」「三つの真珠」の喜多川千鶴「静かなる決闘」の中北千枝子「こんな女に誰がした」の伊豆肇ならびに清水将夫「彼女は答える」の斎藤達雄「白虎」「大江戸七変化」の杉狂児「青い山脈(1949)」の龍崎一郎らのほか、英百合子、谷間小百合、朝雲照代らが出演する。
ここ銀座裏のホールにくりひろげられる多彩なダンサーたちの織りだす人間模様--夜八時きまって訪れる石川の良き相手きみ子、ヤミ会社社長宮川に想いを寄せられる花江、二十も年若い神田と春の名残を惜しみつつ思い出に生きる加寿子、バンドマン大沢と自由を認め合いながら同せいしている道代は藤岡画伯と交情深く、悪魔に魂を売った没落貴族七条の情婦さぎり、歌手のはるよは未だ還らぬ恋人佐藤を待ちつつこよいもさびしくうたうのである。きみ子や花江は今は見る影ない貴族竹園淑子の邸宅に身をおいている。きみ子は帰れば永い病床にいる夫をなぐさめ、花江は女手で三人の子供を育てている。花江はある日曜日に子供とピクニックの約束をするがその日は宮川との熱海行きの誘惑を承諾した日で、彼女は子供と共に彼を訪ね、宮川はさっぱりと己の出来心をわびて花江と子供たちをはげました。淑子は崩れゆく一家の支柱となるためダンサーとなり、その最初の夜、かつて婚約した七条との再会にひたむきな心をささげる。道代と大沢は今夜はっきりと結婚か否かをきめようと「私がラストに熊岡と踊ったらお別れよ」「ぼくが素手で指揮したら別れない」と約束する。その夜淑子の出現でさぎりをすて、淑子と踊る七条は密輸団の首領として警官隊に囲まれていた。やがてはじまるラストの曲、大沢はさっと素手で指揮をとれば、道代は熊岡をおいて同輩のダンサーと踊る。石川は「あまりにも妻と似たあなたと踊るのはおそろしい」と今宵最後をきみ子と踊る、唄うはるよの目に、突然還ってきた佐藤の姿が--。花江に手をとられた淑子は「強く生きます」とさびしい眉をあげる。再び会えぬ者、結び会う者、哀しみも喜びもこもごものうちに、今宵ホールのラストの曲はかなでられるのであった。
高木花江
竹園淑子
淑子の母
丘はるよ
桜きみ子
牧原加寿子
小島道代
絹川さぎり
桃山芳子
薄田洋子
大沢由起夫
石川
宮川社長
杉田京二
桜康晴
徳田マネージャー
熊岡画伯
神田
七条泰麿
佐藤辰治
松野勇
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