シャルロット・ゲンズブール
Marie
親友の男ふたりとひとりの女という黄金の三角関係を軽妙に描く、ほろ苦いラブストーリー。監督は「だれも私を愛さない!」の新鋭マリオン・ヴェルヌー。製作はパトリック・ゴドー。原作は英国の作家ジュリアン・バーンズの『ここだけの話』(白水社刊)を、短編映画監督としても知られるドディーヌ・エリー(声の出演も)が脚色。撮影は前作「だれも私を愛さない!」でもヴェルヌーと組み、最近ではアルノー・デプレシャン監督作品や「ティコ・ムーン」で知られるエリック・ゴティエ。音楽は「見憶えのある他人」のアレクサンドル・デズプラ。美術はフランソワ・エマニュエリ。編集はジェニファー・オジェ。衣裳はピエール=イヴ・ゲイロー。録音はディディエ・サン。主演は「アンナ・オズ」のシャルロット・ゲンズブール。共演は実生活でもシャルロットのパートナーである「恋人たちのポートレイト」のイヴァン・アタル、「a.b.c.の可能性」のシャルル・ベルリングほか。
絵の修復家・マリー(シャルロット・ゲンズブール)はアパートの階下の男と惰性の不倫関係を続ける自分に疑問を抱き、新聞の恋人募集欄に広告を出す。返事をよこしたのは銀行マンのブノワ(イヴァン・アタル)。人生に不器用な彼は「僕は写真写りが悪いから」と親友の高校教師・ピエール(シャルル・ベルリング)の写真を送っていた。しかし不器用ながらも誠実に自分の気持ちを伝えようとするブノワにマリーは魅かれていく。ある日ブノワはマリーにピエールを紹介する。ピエールは教え子にまで言い寄られるほどの魅力的な男だったが、少しばかりクセのある人物。意気投合した三人はまるでティーンエイジャーの仲良しグループのようにその春を過ごした。海岸に遊びに来た三人。はしゃぎあうマリーとブノワ。しかし恋人達を見つめるピエールの瞳は少しずつ曇っていく。ブノワとマリーがとうとう結婚することになった。幸せそうなふたりを前にしてピエールの表情はやっぱり晴れない。ふたりの新居への引っ越しを手伝っている時、ピエールはブノワが新聞の広告を見てマリーに送った自分の写真を見つける。結婚式の立会人として記念写真を撮った時、ピエールはマリーを愛していることにやっと気が付いた。マリーへの愛は日に日に増すばかりだが、彼女はすでに親友の妻。ふたりに対するピエールの屈折した言動が目立つようになった。矢も盾もたまらなくなったピエールは、とうとう大きな花束を持ってマリーに愛を告白する。動揺するマリー。拒否してもピエールはしつこくつきまとう。結局マリーはピエールが自分のアトリエに来ることをしぶしぶ許してしまった。来るのはいいけど愛の告白はしないでとふたりの間のルールを作るマリー。ピエールはアトリエに通い詰めるだけではなく、ブノワとマリーの住むアパートの前のホテルに滞在して彼女の様子を窺うなど、ストーカーまがいの情熱を傾ける。そんなピエールにやがてマリーの心も動くが、愛人みたいなのはいやだとピエールが断ったために肉体関係は結ばなかった。その頃、ブノワもさすがにふたりの仲が怪しいことに気付く。とうとう彼まで家の前のホテルに泊まって監視を始めるようになった。やっと手に入れた幸せが崩れていくことに耐えられないブノワは、ピエールを招待してのディナーで自分の感情を爆発させる。言葉だけではなく拳でも傷つけあうかつての親友たち。もうあの頃のように三人で楽しく過ごすことはできないのか……何年か後、新世紀の最初の日。思い出のあの海岸に三人の姿があった。ブノワとは離婚していないがピエールと同棲しているマリー。ロシアで出会った娼婦との間にまもなく子供ができるブノワ。いつかの春のように戯れる三人だったが、あの頃とは確実に違うひとりひとりの姿があった。
Marie
Benoit
Pierre
Bernard
Susan
Femme de Bernard
Catherine
監督、脚本
脚本
原作
製作
撮影
音楽
美術
編集
衣装デザイン
録音
字幕
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