永瀬正敏
走る男
監督・石井聰亙が、伊勢谷友介、永瀬正敏、浅野忠信を主演に迎えた短編オムニバス「DEAD END RUN」の一篇。『LAST SONG』『SHADOWS』『FLY』の3つのストーリーで構成され、それぞれ“逃げる男”が登場する。
男(永瀬正敏)は走っていた。真っ赤なロングコートを羽織り、顔に付いた血痕を気にする様子もなく、うつろな目で一心に前を見つめて走っていた。闇はすっぽりと空を包み、気が付くと男は建物に囲まれた袋小路に追いつめられていた。あたりをぐるりと見渡しても、逃げ道はない。傷の痛みに耐えながら外壁にもたれかかると、自分を殺しにやってくる男(ロバート・ハリス)の足音が聞こえてきた。近づいてくる足音に耳をすましながら、男は銃を手にして、刺客の前に飛び出した。銃を構えたふたりの男は、月明かりの下で対峙する……
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