長谷川京子
森岡淳子
「Jam Films」シリーズ第4弾”女性”をテーマとした「female フィーメイル」の中の1話。女性の本音をずばりと突く姫野カオルコの原作を「深呼吸の必要」の篠原哲雄が監督。出演は「美しい夜、残酷な朝」の長谷川京子ら。
東京のOL、29歳の淳子(長谷川京子)は、中学時代の恩師の葬儀に出席するため、ひさしぶりに故郷を訪れる。桃畑が点在する故郷の町は今も中学時代のままの田園風景が広がっている。かつて、中学生の淳子は、この桃畑の中を自転車で疾走した。目指すのは、中学の独身教師が住む一軒家。14歳の淳子はそこで彼とさんざん「いやらしいこと」に耽ったのだ。今では桃畑を継いでいる同級生の矢崎(池内博之)に、淳子は言う。「あたしもあの人もただやりたかっただけだよ」。ひとり高台で故郷の夕景を見ながら、淳子は矢崎からもらった桃を、舌をつかってゆっくりと舐めるように、かじり、味わっていく。
[c]キネマ旬報社