柳田龍馬
タカハタヒロシ/ヒロシ
帰来雅基のエッセイ『高松純情シネマ』が原作。1970年の高松を舞台に、自主映画を作る高校生たちの姿を描く青春映画。監督は、テレビ番組の演出などを手掛ける高嶋弘。出演は、新人の柳田龍馬、大西節子。また、帰来、高嶋と高校の同級生だった高畑淳子が主人公の母親役で出演している。さぬき映画祭2008奨励賞受賞作品。
大阪万博が開幕した1970年の香川県。高畑隆志(柳田龍馬)は県内トップの高校に入学したが、勉強もせず、時間があれば映画館に通う“ほっこまい(大バカ)”な日々を過ごしていた。ある日、隆志は映画館・明宝会館で、アメリカの学生運動を描いた映画「いちご白書」を続けて2回観る。隆志は、女の子目当てに運動に参加する主人公に共感する。一方、秀才の川村浩史(丸山裕一)は、そんな軟弱な男のいる組織では権力には勝てないと考える。三島由紀夫が自決した日の朝、隆志は公園で、内田春奈(大西節子)を見かける。彼女に恋をした隆志は、思い切って映画に誘うが、あっさり断られる。ある日、情報通の吉野保彦(佐藤潤)が、明宝会館が今年いっぱいで閉鎖され、ボーリング場になるというニュースを伝える。それを聞いて落ち込む隆志に、保彦は自主映画の製作を提案する。田中千秋(ひろせ友紀)が脚本を担当し、制服の自由化を訴える内容だという。「いちご白書」のようなテーマと、春奈がヒロインを演じることを知り、隆志は映画作りへの参加を決める。そして彼らは夏休みと冬休みを利用して撮影を行い、16ミリカメラで本格的な映画を完成させる。そして明宝会館のスクリーンで、ラストショーの日に上映会が行われる。
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