「能楽師」で、観世流能楽師の関根祥人、祥六親子を中心に能の魅力を描いた田中千世子監督が、“能と風土”をテーマに紀伊半島の道成寺、熊野古道などを訪れ、新たな視点から能に迫ったドキュメンタリー。『舎利』、『道成寺』など関根親子の稽古風景と舞台も収録。撮影を担当したのは、「桜田門外ノ変」などのベテラン川上皓市。
ストーリー
能の舞台となった場所は“謡蹟”と呼ばれ、ファンを誘う土地となっている。京都の清水寺は、華麗なヒロインが登場する『熊野(ゆや)』の謡蹟であり、桜の花の清水寺で美しい景色を眺めながら能の「熊野」を思うのは風流この上ない。また、能楽堂で『熊野』を見る時、京の実景を思い浮かべるのは一段と情趣溢れる歓びかもしれない。能は土地と深く結びついた芸術であることに気付き、『道成寺』の能と実際の道成寺、さらにはその所在地である紀伊半島を訪れることとなった。紀伊半島で“能と風土”について探求する一方で、観世流能楽師の関根祥人と父、祥六そして息子の祥丸を交えた稽古風景および『舎利』、『道成寺』、『松風』の舞台をカメラに収める。さらに、祥人と俳優の佐野史郎、民俗学者の田中英機の鼎談なども通じて、能の伝承について考える。