政治的な前衛映画監督たちを被写体にしたドキュメンタリー・シリーズ「美が私たちの決断をいっそう強めたのだろう」第一弾。1960年代に鮮烈な映画を次々と発表し、注目を浴びつつも、やがて革命に身を投じていった足立正生の姿を追う。監督は「Un lac」などドキュメンタリーを中心に活躍するフィリップ・グランドリュー。
ストーリー
本作は、1960年代に若松孝二とともに鮮烈な映画を次々と発表し、若手芸術家の筆頭として注目されたものの、やがて革命に身を投じていった足立正生のポートレートである。制作のきっかけは、2008年の初来日時、フィリップ・グランドリュー監督が足立正生と対面し、意気投合したことだった。本シリーズは、かつてフランスで放送されていたアンドレ・S・ラバルトとジャニーヌ・バザンによる伝説的なテレビドキュメンタリー『われらの時代のシネアストたち』へのオマージュでもある。「美が私たちの決断をいっそう強めたのだろう」というタイトルは、ドストエフスキーの“美は世界を救う”という言葉と、足立正生が35年ぶりに監督した06年の「幽閉者 テロリスト」の主人公が語る“その美しさのせいで俺たちの決断も一段と強まったのかもしれない。なにもかもが、戦いに向かうには、静かで美しすぎる風景だった”というセリフから取られた。本シリーズは、目録を作ることが目的ではない。全体の運動を司るのは、まさにその逆の事柄。つまり、重力から解き放たれた自由な身振りである。それによって1人の映像作家が、別の映像作家の作品群の証人となり、彼の美学的、倫理的、政治的な社会参加や世界との闘い、彼自身との闘いを明らかにする。映画こそがこの企画の中心である。映画と友情。従ってシリーズの各作品は、それぞれの必然性に支えられながら、それ単体で独自の対象として思考され、制作され、撮影される。シリーズ全体を貫くのは、映画の力を変容させることに対する関心である。
キャスト
スタッフ
監督、撮影、編集、音響、シリーズ企画
フィリップ・グランドリュー
音楽
フェルディナンド・グランドリュー
助監督
シャルル・ラムロ
シリーズ企画
ニコル・ブルネーズ
プロデューサー