
三島由紀夫VS東大全共闘 50年目の真実
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評価・レビュー4.1
1969年5月13日、東京大学駒場キャンパスで行われた作家・三島由紀夫と東大全共闘による伝説の討論会に迫るドキュメンタリー。当時の記録映像を高精細映像にリストア、関係者や現代文学者、ジャーナリストらの証言を集め、三島の自決1年前の生き様を炙り出す。ナレーションを「寝ても覚めても」の東出昌大が担当。監督は「ヒーローマニア 生活」の豊島圭介。
ストーリー
※結末の記載を含むものもあります。
三島由紀夫が衝撃の自死を遂げた前年の1969年5月13日。学生運動が激化していた東京大学駒場キャンパスの900番教室は、1000名を超える学生が「三島を論破して立ち往生させ、舞台の上で切腹させる」と盛り上がり、異様なテンションが充満していた。一方、三島は警察が申し出た警護も断り、その身一つで敵地へと乗りこんでゆく。討論会は2時間半にも及び、三島由紀夫という天才がその煌めきをまざまざとみせつける。この伝説となった『三島由紀夫VS東大全共闘』の記録を高精細映像にリストアし、元東大全共闘、三島と交流のあった著名人、盾の会メンバー、三島文学を愛する文化人ら13名が証言。討論会の全貌が明らかになる。
スタッフ
豊島圭介
監督
東出昌大
ナビゲーター
平野隆
企画プロデュース
竹内明
プロデューサー
刀根鉄太
プロデューサー
遠藤浩二
音楽
大澤祐樹
共同プロデューサー
星野秀樹
共同プロデューサー
岡田有正
共同プロデューサー
月永雄太
撮影
小川武
録音
村上雅樹
編集
副島正寛
助監督
吉原裕幸
アシスタントプロデューサー
諸井雄一
アシスタントプロデューサー
韮澤享峻
アシスタントプロデューサー
小島英人
企画協力
作品データ
- 映倫区分
- G
- 製作国
- 日本
- 配給
- ギャガ
- 上映時間
- 108分
[c]2020 映画「三島由紀夫vs 東大全共闘 50 年目の真実」製作委員会 [c]キネマ旬報社
映画レビュー
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元電気メーカー社員
42020/6/12トークバトルとして見るなら最高に面白いです!
思想とか哲学とかを自分の日常の糧になるまで咀嚼した人は、畑違いの人達にとってもこんなに刺激的で面白い論議が出来るんだ。そして三島由紀夫は、聴衆を魅せるだめなら今でも言う自虐ネタも厭わず、自身の思想の背景になっている自分の思春期の影響も隠さないしそこから逃げない。「日本人から一歩の出られないじゃないか」と言われて、出る気は無いと返すリアリスト。勝ち負けなんて関係なく、どれだけ実りのある議論が出来るかに徹してる。ものすごく魅力的なステージ。
三島由紀夫の魅力を引き出せた全共闘の人達の、いい意味での勉強ぶりも見事。特に、全共闘に加わっていながら、政治を変えようなんて全然考えてなくて、芸術家に徹してる芥正彦と、芸術分野のトップスターに登り詰めながらそこに留まることをよしとせず、社会変革を目指してもがく三島由紀夫という、対照的な二人のやりとりは、どちらが正しいという訳ではなく、今も昔も変わらず、表現を極めようとする者が直面する葛藤を、端的に表していてとても勉強になる。
今も現役のアーティストである芥正彦は、表現者としての道を踏み外さなかったといも言えるけれど、安全な場所から一歩も出なかったとも言える。片や三島由紀夫は見世物のような死に様を想うと、道を踏み外して哀れな最期を遂げたとも言えそうだけど、真摯に現実社会に向き合ったとも言える。
三島はこの討論会で、自分の言う天皇とは、現実の天皇制でも天皇のことでもなく、日本の民衆に染みついている意識を象徴的に表した言葉だと説明したけれど、芸術は、既存のしがらみから自由になってこそと、討論会でも一貫して主張していた芥は、本作制作のため新たに行われたインタビューでも、(天皇を国のトップに掲げようとする)自分と共闘してほしいと、学生に呼びかけた三島に対し、「学生をばかにしていた」と語り、今でも三島の考えを容認していない。この対立は、あって然るべきものでしょう。
とはいえ・・
社会運動の討論として見れば、上から目線も甚だしい机上の空論バトル。こんなことやってたから、結局何も変えられなかったという反面教師の典型例。
実際、この壇上で持論を語っていた当時の学生(のうち生存者)は、本作のためのインタビューで学生運動の総括を問われても、皆うやむやに語るのみ。主義主張が一貫しているのは討論の当時から、闘争を表現行為の一環としか位置付けていなかった芥のみ。
そして私達は皆知っている三島の最期。言葉で語る物語は、言葉の世界だから魅力的なのであって、それをそのまま現実にやってしまったら、単なるアブナイ奴にしかならない。
人に対して誠実な三島は恐らく、自分の闘争的な主張を曲げず、なおかつ実際には誰も傷つけないように、熟慮に熟慮を重ねて、あの自決を遂げたのだとは思うけれど、本作の討論場面を見てしまうとなおさら、道化のような三島の死に様が惨めでならない。あれで自衛官が決起するなんて本気で考えるほど、思慮の浅い人ではなかったはずなのに。
あんなみじめな死に方しないで、成田空港闘争や
湾岸戦争のときも三島が社会に激を飛ばしていたら、今ほどレイシストや、対米隷属でしかない(自称)保守、右派の類が大きな顔をすることもなかったでしょう。
あんな死に方じゃあ、芥が討論で(芸術家としての)三島の活動を批判した「敗退」という指摘を、否定できない。
他の死に方、なかったのか・・・・続きを読む閉じる
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モッピー
22020/4/21全学連(共産・民青系、中革、革マル派・・・等)の言葉遊び、自己批判、内ゲバの果ての浅間山荘事件、成田空港運動等の終息、瓦解、崩壊、学生運動自体の惨めな終焉も馬鹿学生たちも何時しか社会に迎合吸収されて自然消滅?また当時左翼思想的な一連の事柄はタブーとされ地上波に乗る事は殆どありませんでした。
後の三島由紀夫氏割腹自殺の報道も当時は冷ややかな扱いで、著名人の異常な思考による異常な事件で新聞、地上波では報じられました。
学生運動に関しての昔を懐かしむ昔話程度の作品、令和を生きる若人達に一石を投じる作品ではありますが・・・続きを読む閉じる
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seapoint
32020/4/4水を差すようで申し訳ない。
東大全共闘及び当時そのようなものに関わった学生らの目的は一致していたのか。あさま山荘事件まで引き続いたが結果もうやむや。その波に乗っていた浮かれ者が大半だったのではないか。
なぜなら何かを成しとけたとか聞いていないし、何か変わったとかも聞かない。丁度、その世代で東大全共闘ではないが、その類にいた人に聞いたら、その当時の感想、「警察に殴られて怖かった、痛かった」以上…
それでもVS三島由紀夫。
聴衆者みな、彼の誠実さを称賛。学生だからと言って馬鹿にするでもなく、きちんと話を聞く。特に論客の芥との討論は深い所まで持っていた気がする。あの若者が今はと思った所の現代でのインタビュー。正直、屁理屈な人物となっていて大分がっかり。住む世界が違うとか?しかし生きていることはどこかしら繋がっているわけなのに、会話にならんな。
三島由紀夫という男の天皇崇拝の起源は自身が学習院を首席した際、天皇から頂戴した銀時計に尽きると思う。そうでなければ自害なんて。
今の若者よりははるかにアグレッシブである。当時はSNSもないからまた違ったナルシストが大勢いたのもたしか。高等遊民は理想だけはやはり高いなと感じるのも事実。だって彼らがそうこうしている間に町工場や畑であくせく汗を流しながら働いている若者の方が多いんですから。続きを読む閉じる
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