チャールズ・ファーレル
Liliom
劇作家として有名なフェレンク・モルナール原作の同名戯曲を映画化したもので主演者は「友愛天国」「サニー・サイド・アップ」のチャールズ・ファーレルである。「海の狼(1930)」の台詞を書いた劇作家のS・N・ベールマンが潤色した脚本及び台詞により、「我が心の歌(1930)」「巴里見るべし」を同じくソニア・レヴィーンが撮影台本を作り、フランク・ボーゼージが監督にあたり、チェスター・ライオンズが撮影を担当している。主演者を助けて出演するのは舞台出のローズ・ホバート、「キング・オブ・キングス(1927)」のH・B・ワーナー、「ドン・ファン(1926)」のエステル・テイラー、リー・トレイシー、その他である。
古都ブタペスト。謝肉祭の夜。女中をしているジェリーとマリーという2人の娘が公園に遊びに行って木馬館の客呼び男リリオムと知り合いになる。ジェリーは小粋なリリオムを恋してマリーのいさめもきかず、リリオムと結婚してしまう。木馬館の女主人マスカットは嫉妬のあまり、リリオムを解職する。たちまちの貧窮。幾日も暗い日がつづく。リリオムはあの謝肉祭の日からジェリーがことごとに自分に逆らう様に感じられ、怒りのあまり彼女をなぐりつけはするものの、すぐまた彼女が可哀相になっていたわってやる様なことがしばしばあった。職のない彼ばさらに妻の身重になったことを聞かされ、ある男から誘われるまま遂に強盗をすることに同意した。しかし彼は強盗をする前に警官の手に押さえられてしまう。彼は自殺を企てる。何人をも近づけずに一夜を彼の傍らで明かしたジェリーは彼の苦しい息の下から、今日まで自分がジェリーに辛くあたったことや強盗まで働く様になった気持ちを話したが、彼女には理解できなかった。幽迷界へ向かう列車が彼女の手からリリオムを連れ去ってしまう。列車の中でリリオムは長官に、妻に逢って今までのことを詫び自分の愛が永久に変わらぬものであることを伝えたいから、もう1度地上へ帰らせてくれと願うが許されず、10年間地獄に苦しめと言い渡される。数年後、出発のラッパが高らかに鳴り渡ると、妻やまだ見ぬ我が娘に会いに行くリリオムを乗せた列車が地上を指して天界を出発する。リリオムは降りた際に、そっとラッパを盗み出す。我が家の庭で遊ぶ我が娘ルイズに初めて会ったリリオムは盗み出したラッパで子供を遊ばせてやると、家の中ではジェリーが見ず知らずの旅人と話しているものと思ってルイズを呼び入れる。リリオムは家に入ろうとするルイズを無理に引き止めるが、きかぬので打つ。その時、先刻吹いたリリオムのラッパで天界の列車が彼を迎えに来る。列車の中でリリオムは、またも長官に向かって妻と娘に会わせてくれと頼む。長官は「母娘のものはリリオムと一緒に下界に住むよりもたった2人きりではるかにリリオムの事を思っている方が幸福なのだ」とさとす。リリオムはやっとそれがわかる。列車は光の中を天国の霊界指してまっしぐらに走っていく。
Liliom
Julie
Chief_Maglstrate
Madam_Muskat
The_Buzzard
Linzman
Marie
The_Carpenter
Hollinger
Aunt_Hulda
Wolf
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