波瑠がラブホテル経営を手伝う娘役に!桜木紫乃原作『ホテルローヤル』の主演に決定
2013年に第149回直木賞を受賞し、累計発行部数85万部(電子書籍を含む)を超えるベストセラーとなった桜木紫乃の自伝的代表作「ホテルローヤル」。かねてより映画化が発表され話題を集めていたが、このたび、主演を波瑠が務めることが発表された。
原作は、桜木自身の生家でもある北海道の釧路湿原に立つラブホテルを舞台に、現在から過去へ時間軸を遡り、ホテルの盛衰とそこを訪れる人々の“生”と“性”を、せつなくも瑞々しいタッチで描いた七編からなる連作小説。映画では、原作の持つ静謐な魅力をそのままに、閉塞感のある日常を離れ、ホテルローヤルの扉を開く男と女、そして問題を抱える経営者家族や従業員それぞれの人生模様を、ホテルの経営者家族の一人娘である雅代を軸に、繊細に綴っていく。
連続テレビ小説「あさが来た」や『弥生、三月 -君を愛した30年-』(上映中)など、多くのドラマや映画で活躍する波瑠が演じる雅代は、美大受験に失敗し、家業であるホテルの仕事を手伝うことになる女性。どこか居心地の悪さを感じながら過ごす日々のなか、ひと時の“非日常”を終え、安らぎと寂しさを胸にホテルを出ていく客たちを少し冷めた目で眺めながら仕事を進めていく、という役柄だ。
ホテルに渦巻く人間模様を見つめながら大人になっていく雅代の心情を表現するにあたって波瑠は、「雅代はどこかいつも傍観者というか、起こる状況の中心にはいない人。悲劇のヒロインにはなりきれないような曖昧さだったり、中途半端にも見えるところが彼女の人間味になればいいなと思って演じていました」とコメントを寄せた。
原作者の桜木にとって、雅代は自身を投影した役でもある。演じた波瑠については「誰にも心を見せず開かず、無表情を貫き、黙々とラブホテルの掃除をする彼女の姿は、苦しくなるほどリアルでした」と賞賛の言葉を贈り、作品への期待をさらに高めている。
監督は『百円の恋』(14)で日本アカデミー賞をはじめ国内外の各映画賞を総なめにした武正晴。「嘘八百」シリーズやNetflix「全裸監督」の総監督など、精力的に作品を手掛けてきた気鋭監督が、直木賞受賞作の映画化に挑む。脚本は、現在放送中のNHK連続テレビ小説「エール」を手掛ける清水友佳子。ラブホテルを舞台に、人間の抱える欲望や優しさ、悲哀を丁寧にすくい上げる珠玉のヒューマンドラマ『ホテルローヤル』は、2020年冬に公開を予定している。
文/トライワークス