ルーク・エヴァンスvsキリアン・マーフィ…危険な美女“ANNA”を巡るバトルが勃発!?
リュック・ベッソン監督が新たに送り出すノンストップアクション『ANNA/アナ』(公開中)。頭脳明晰で驚異の身体能力を誇る美しき暗殺者アナが、世界を操る二大組織、KGBとCIAを翻弄する。そんな彼女を巡って対立するのが、独自の世界を切り開く演技派、ルーク・エヴァンスとキリアン・マーフィだ!
『レオン』(94)や『LUCY ルーシー』(14)など、多くの“闘うヒロイン”を生み出してきたベッソンの系譜に連なる本作。時は1990年、自堕落な生活を送るアナは、ソ連の諜報機関KGBのエージェントのスカウトを受け、一流の暗殺者へと成長する。国家にとっての危険人物を次々と消し去る彼女だったが、アメリカCIAの巧妙なワナにはまり、二重スパイの誘いを持ちかけられてしまう…。KGBのエージェントでアナの恋人でもあるアレクセイをエヴァンスが、彼女を利用しようとするも次第に惹かれていくCIA捜査官をマーフィが演じている。
エヴァンスといえば、近年では「ワイルド・スピード」シリーズのオーウェン・ショウや『美女と野獣』(17)のガストンなど、悪役での活躍が記憶に新しい。一方で、鍛えあげた肉体を惜しみなく披露した『インモータルズ 神々の戦い』(11)でのゼウスや世界的人気を獲得した「ホビット」シリーズのバルドといった無骨なヒーローのイメージも。
彼が演じるアレクセイは、常に冷静沈着で表情を変えずに着実に任務をこなし、アナの能力を高く評価し深く愛してもいる。しかし、彼女を勧誘した際に「5年で自由になれる」と嘘をつき、その後「いつか自由にしてくれる?」と聞かれても「最善を尽くす」という曖昧な言葉でかわすなど、仕事や立場を優先してしまう言動が目立つ。
対するマーフィは、『28日後…』(02)や『サンシャイン2057』(07)のダニー・ボイル、「ダークナイト」シリーズや『インセプション』(10)、『ダンケルク』(17)でのクリストファー・ノーランなど、多くのヒットメイカーと仕事を共にしてきた名優。繊細な青年からサイコパスな犯罪者までこなす幅広い表現力を持ち、主演を務めた名匠ケン・ローチ監督のパルムドール作『麦の穂をゆらす風』(06)での国の内紛に翻弄される役柄には涙した人も多いはず。
本作では、そんな彼のクセ者っぷりが堪能できる。早くからアナの正体に勘づいていたレナードは、彼女を協力者にすることを画策。嫌味っぽく淡々とした態度で脅し文句を並べ、彼女を追いつめていく。ところが、裏で通じ合っているうちに、その美貌に引き込まれ、アナからのメッセージが届いただけで顔をほころばせてしまう…。
アナ役のロシア出身の新星、サッシャ・ルスによる華麗なアクションに目を奪われ、KGBとCIAを行き来しながらの緊迫感あるミッションにハラハラさせられる本作。これらとあわせて、アナを取り巻く、アレクセイとレナードの二人の動向や表情にも注目してほしい。終盤、アナによって初めて顔を合わせることになる男たち。銃を向け合い対峙する彼らに待ち受ける未来とは…?
文/トライワークス(平尾嘉浩)