批評家が選ぶ、犬の映画ランキング!ディズニーから実写名作まで“フレッシュ”10選
上位10作品は実写とアニメーションでちょうど半々となる結果に。98%フレッシュを獲得しトップ評価に輝いたのは、ディズニーアニメーションの不朽の名作『101匹わんちゃん』。誘拐された仔犬たちを救出するため主人公のダルメシアン、ポンゴとパーディタが大冒険を繰り広げる本作は、アニメーションならではの表現が満載。近年ディズニーアニメの実写化が相次いでいるが、それにかなり先駆けるように90年代にグレン・クローズをヴィランのクルエラ役に配して実写映画化し続編も製作されたことも。現在も、エマ・ストーン主演で新たな実写化プロジェクトが進行中。
そんな『101匹わんちゃん』を含み、アニメーション5作品中3作品がディズニー作品というのも興味深い。先日日本でローンチされたばかりのディズニープラスで実写版が独占配信中の『わんわん物語』は、アニメ映画史上最高ともいわれるキスシーンが有名な一本。そして3DCGIアニメ『ボルト』はスーパーパワーを持つ役を演じていたタレント犬が現実を目の当たりにする姿を描いた快作。いずれもディズニーのイヌ映画の代表格といえよう。
さらにディズニー作品は実写でも高評価を獲得。91%フレッシュの『トーゴー』は、実話をもとにアラスカの圧巻の風景のなかで描かれる人とイヌとの絆に胸が熱くなること間違いなしの感動作。こちらはディズニープラスで現在独占配信されている。
アニメーション作品の残る2本はどちらも必見の大傑作。95%フレッシュを獲得したのは、イギリスのアードマン・スタジオの看板キャラクター「ウォレスとグルミット」の初の長編作品となり、アカデミー賞長編アニメーション賞にも輝いた『野菜畑で大ピンチ!』。準主役でありながら一言も台詞を発さずに表情だけで物語るグルミットが実に愛らしい。また、ウェス・アンダーソン監督が手掛けたストップモーションアニメ『犬ヶ島』は、とにかくユニークなキャラクターたちと美術が見応え抜群。日本映画へのオマージュや、豪華な声優陣に隅から隅まで注目してほしい一本だ。
実写映画の顔ぶれは実にバラエティ豊か。ネオレアリズモの巨匠ヴィットリオ・デ・シーカ監督の代表作のひとつ『ウンベルト・D』のようなクラシックの名作もあれば、ドキュメンタリータッチで愛犬家たちの人間模様を描いたコメディ『ドッグ・ショウ!』、日本でも広く知られている“名犬ラッシー”の物語を描いた王道中の王道『名犬ラッシー』も。
また前述したパルム・ドッグ賞に輝いたハンガリー映画『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲』にも注目。飼い主たちから見捨てられたイヌたちが反旗を翻す様を描く本作は、世界共通の問題となっているペットの殺処分という課題へ大きな疑問符を投げかける意欲作。250匹のイヌたちが駆け回るショットはまさに圧巻と言えよう。
文/久保田 和馬