展示を見ながらアニメ制作が学べる「SHIROBAKO展」!潜入レポート&キャスト取材も敢行
2014~2015年にかけてテレビ放送され、現在は劇場版も公開中の「SHIROBAKO」。そんな本作の貴重な資料を展示する企画展「SHIROBAKO展 ~SHIROBAKOで学ぶアニメの作り方~」が、埼玉県川口市にある「SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ 映像ミュージアム」で開催中だ。
本作は、アニメ制作会社「武蔵野アニメーション(通称ムサニ)」に勤務する制作進行の宮森あおい(通称みゃーもり)を中心に、アニメーターの安原絵麻、新人声優の坂木しずか、CGクリエイターの藤堂美沙、脚本家を志望する大学生の今井みどりら5人がそれぞれの夢を追いかける物語。アニメ業界で働く人たちの熱い思い、世知辛い現実などもリアルに描き、話題となった。
今回の企画展では、原画や脚本はもちろん、絵コンテにキャラクターデザイン、美術ボードなどがセクションごとに設置され、どのようにアニメ制作がおこなわれるのかを学ぶことができる。先日おこなわれたプレス内覧会に行ってきたので、展示内容の紹介、偶然来館していたキャストからのメッセージとともに作業工程の流れを追っていきたい。
「SHIROBAKO展」に潜入!キャラクターや背景のデザインがぎっしり
「SHIROBAKO」のテレビシリーズ第2クールでは、劇中アニメ「第三飛行少女隊」の制作プロセスが描かれていた。本作のように、プロデューサー陣を中心に企画が立ち上がり、監督やキャラクターデザイン、脚本家といったスタッフが集められていくところから制作は始まる(監督が企画の持ち込みをおこなう場合も)。その後、大まかなプロットが決められ、ストーリーやキャラクター&メカニックのデザイン、美術背景といったフローに分かれ、監督の指揮のもとでそれぞれの作業がおこなわれていく。
上記についての簡単な工程の展示を確認したあと、まず目に入るのが壁一面にかけられた登場人物たちの“キャラクターデザイン”。いろいろな角度から見た顔の輪郭や表情、目の色彩、髪のなびき方や立ち姿まで詳細に描き込まれている。キャラクターは作品の顔であり、後述のアニメーターにとっての指針にもなるので、劇中でも初めてキャラクターデザインを担当することになった実力派アニメーターの井口祐未が苦心する姿が印象的だった。
キャラクターデザインが進められるのと同時に、“脚本”や“絵コンテ”も動きだす。テレビアニメの場合、一人の脚本家がすべてを担うのではなく、“シリーズ構成”という全体の物語の流れを指揮する人がいて、シリーズ構成を含む複数の脚本家によって各話のシナリオが振り分けられる場合が多い。
絵コンテも監督のほか、各話を担当する演出家によって描かれる。この絵コンテがアニメでいう設計図のようなものになり、これが完成しないとアニメーターたちは仕事をすることができない。劇中では、こだわりが強く煮詰まりやすいお騒がせキャラの木下誠一監督が絵コンテを遅らせてしまい、何度も作業を滞らせていた…。
作品を構成する重要な要素として“背景”も忘れてはいけない。キャラクターをのせる絵が必要だからだ。作品の世界観を表現するうえで欠かせないセクションで、劇中でも雲を描くのが得意な渥美裕治に美術監督を依頼するシーンがあった。企画書をもとに、背景の基本デザイン・設計図となる美術設定、背景美術の見本となる美術ボードが作成される。
キャラクターデザインや背景のほか、“メカ・プロップ設定”と呼ばれるセクションもある。ここでは、作品に登場するメカニックやプロップ(小道具)などのデザインがおこなわれている。ロボットや車から、バッグやスマートフォンといった持ち物までその内容は様々だ。
期間:前期 6月20日~8月2日(日)、後期 8月4日(火)~9月6日(日)
場所:SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ 映像ミュージアム(埼玉県川口市上青木3-12-61)