展示を見ながらアニメ制作が学べる「SHIROBAKO展」!潜入レポート&キャスト取材も敢行
いまにも動きだしそうな原画に見入ってしまう!
次はいよいよ“アニメーター”のコーナーに。アニメーターの作業には、レイアウト、原画、動画などがある。レイアウトとは、絵コンテを元に描かれた画面の構図で、キャラクターの配置や背景が描かれている。レイアウト演出チェック、レイアウト作画監督チェックを経て、できたレイアウトが背景セクションに渡り、背景美術が発注される。
原画は、動きの要所(動き始め、節目となるポイント、動きの終わり)を描いた絵素材のことで、このセクションを担当する人は原画マンと呼ばれる。動画とは、原画をクリンナップし、その間の動きをさらに割って(足して)、一連の動作としてアニメーションにしたもので、担当者は動画マンと呼ばれる。通常30分アニメ1話あたりに約3000枚の動画が必要になると言われており、正確さと物量が求められる。アニメーターの多くが動画で経験を積み原画に上がるが、動画専門で活躍する人もいるようだ。ブースには、劇中の印象的なシーンを切り取った原画が飾られており、笑いや感動などの感情が呼び起こされる。また、束になった動画も設置され、パラパラ漫画のように閲覧することも可能だ。
デザイン、原画や動画は手書きでおこなわれるが、デジタル技術の進歩に伴い、“3DCG”でおこなわれることも珍しくなくなった。劇中でも、「手書きか3DCGか」という議論が交わされており、ベテランアニメーターが3DCGクリエイターに手書きアニメーションのコツを教え、その一方で、手書きにこだわるアニメーターが3DCGに反発する姿も描かれていた。
作業も大詰め!彩色などの体験ブースも
原画や動画のあとは、“仕上げ”という作業に移り、できあがった絵に彩色が施されていく。かつては絵に直接色を塗っていたが、現在はデジタルデータとして取り込み、パソコン上でおこなわれる。館内には彩色を体験できるコーナーも設置されており、塗り絵みたいに遊ぶことができる。
作業も大詰めになり、“撮影”から“編集”へと進行していく。ここまでの工程でそろった素材を合成するのが撮影で、セル画時代に動画や背景美術を物理的に重ねて、真上からカメラで1枚ずつ撮っていたことに由来する。“仕上げ”と同じく、いまはパソコン上で作業され、光やぼやけの表現などの特殊効果もここでおこなわれる。
映像とは別に、“音響”のセクションでは、声優によるアフレコや主題歌、劇判、BGM、効果音などの収録が進められている。映像にこれらの音をあてて、尺などを調整しながら、映像作品として仕上げるのが編集になる。
そして、これらの作業が円滑に進むように、スタッフ・予算・スケジュールを管理するのが、主人公のみゃーもりが担当する“制作進行”だ。スタッフ同士の橋渡し的な役割で、高い伝達能力や情報処理能力が求められる。ムサニのトラブルメーカー、高梨太郎による指示伝達の不備で、セクション間が対立する様子も劇中では描かれていた。
アニメ制作にまつわる資料のほか、予告やCM、劇中映像を流すスクリーンやグッズの展示、記念撮影ができるパネルなども設置。ファンが楽しめるのはもちろん、作品を知らない人もアニメ作りの奥深さを感じることができる、充実した内容の展覧会になっている。
期間:前期 6月20日~8月2日(日)、後期 8月4日(火)~9月6日(日)
場所:SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ 映像ミュージアム(埼玉県川口市上青木3-12-61)