山田孝之「女の子はかわいいけど、大変」と破顔、『ステップ』父親役で妻に感謝も
近年、山田孝之がますますおもしろい。ドキュメンタリードラマ「山田孝之の東京都北区赤羽」や『映画 山田孝之3D』(17)などで本人役を務め、映画『デイアンドナイト』(19)をプロデュースなど彼の一挙手一投足が気になる。Netflixオリジナルシリーズ「全裸監督」のぶっ飛んだ演技も注目されたが、最新主演映画『ステップ』(公開中)では打って変わって、子育てに奮闘するシングルファーザー役を好演。実際に小学生の子どもを持つ山田は、今回の役柄にどう向き合ったのか?本人を直撃した。
突然、妻に先立たれ、シングルファーザーとなった武田健一(山田)が、1年後に気持ちを切り替え、娘の美紀と共に再出発することを決意する。健一は、仕事と育児の両立に悩みながらも、大奮闘していく。本作は、親子の成長を10年にわたって描くため、美紀役は2歳時を中野翠咲、6〜8歳時を白鳥玉季、9〜12歳時を田中里念が演じるのだが、この“子役リレー”も秀逸。メガホンをとったのは、『荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE』(11)やドラマ「REPLAY&DESTROY」でも山田と組んだ飯塚健監督だ。
「子役とは距離を詰めず、自然な付き合い方をしていっただけです」
初めて臨んだシングルファーザー役について山田は「大変でした」と述懐。
「健一は、結婚して子どもが産まれ、これからというタイミングで、妻が亡くなってしまう。きっと喧嘩したり、いろんなことを乗り越えたりしながら、子どもの成長を一緒に見ていくはずだったのに、近くにいるべき妻がいない。そこがなんともつらかったです」。
また、山田には娘を育てた経験がなかった。
「健一が一番向き合わなければいけないのは娘。彼女が年を重ねていくにつれ、親子の関係性が変わっていきます。だんだん友達のようになっていくし、ある程度、娘に対して距離を取ったほうがいいと思う時期が来ると、その距離の取り方について、お互いに考え方のギャップも生じます。本来なら、妻と共有しながら悩めたであろうことができない。そこが苦しかったです」。
慣れない子育てに翻弄される父親役ということで、山田は敢えて子役との距離感を詰めなかったそうだ。
「当時、翠咲ちゃんは3歳だったので、撮影も大変だろうと覚悟はしていましたが、僕の顔を見た瞬間に機嫌が悪くなったりしたので、傷つきもしました(笑)。『仕事だからやってくれよ』とも思ったけど、よく考えてみれば、彼女には“仕事”という概念さえないわけで、どうしたらいいんだろうと考えてしまいました。でも、それこそ、ぐずる美紀に対して健一が抱くのと同じ気持ちだろうと思い、自分としては素直に演じた感じです」。
実際に、健一親子の日常はとてもナチュラルに見える。
「玉季ちゃんはすごく社交的な子で、いろんなことを話してくれました。この時期の美紀も、すごくパパになついている設定だったので、まさにそのままです。里念ちゃんは、けっこうシャイな子だったけれど、実際9〜12歳の年代に入れば、娘と父との会話も減ってくるので、そのぐらいの距離感が、ちょうど合っていると思いました。だから、特に子役が代わったり、美紀の年齢が変わったりすることも意識せず、僕はその時の美紀と、自然な付き合い方をしていっただけです」。