山田孝之「女の子はかわいいけど、大変」と破顔、『ステップ』父親役で妻に感謝も
「女の子はかわいいけど、大変ですから」
だんだんませてきて、対等な関係になっていく美紀について、健一が「あんまり急いで大人になるなよ」とつぶやく台詞が心に染みる。山田自身は、実際子どもに対して、そういうふうに思ったことはあるのか?と尋ねてみると「ないです」と即答した。
「それは単純に、僕の子どもが男の子だからだと思います。息子については『どんどん大きくなれ』という感じですが、娘だと、もうちょっとゆっくり育ってもらって、一緒にいる時間を過ごしたい、と思うだろうなと。それは今回、健一役を演じてみて、より痛感しました」。
山田は「女の子はかわいいけど、大変ですから」と笑う。
「同世代の友だちも、娘を溺愛していますが、僕はそうなるとヤバイです。まあ、昔から予想できていたので、僕は10代のころから、子どもは男一人でいいと決めていました。娘だと、いずれは彼氏を連れてくるし、その相手がどんな男なのかもわからないでしょ。娘を育てていくことで楽しい経験ができるとは思うけど、その先に、そういうつらいことが待っているとしたら、男の子を自由奔放に育てたほうが気楽だなと。本作で健一として、娘のいる人生を歩んでみましたが、やっぱりつらかったです」。
さらに山田は、健一役を演じ終えてみて「言いたくないんですが、妻には感謝しました」と照れながら答えてくれた。
「うちの場合、家事育児は妻に任せっぱなしです。子どももいまはそんなに手がかからなくなってきていますし、掃除機もルンバがあるからかけなくてもいい。ただ、皿洗いくらいはしようかなと思うようになりました。いつもは食べた物もそのまま置きっぱなしにしていたんですが。家事だけじゃなくて子どもの学校での行事など、やることはたくさんあるなと今回改めて感じたので。そこは、少し変化した気がします」。
また、俳優、プロデューサーなど、いろいろな顔を持つ山田は「常に失敗を恐れず、いろいろなことにチャレンジし続けていきたい」と、実にアグレッシブだ。
「僕自身はいつも、やりたいと思ったことをやり、組みたいと思った人と組みたいと思っています。もちろん、上手くいかなかったり、障害が生まれたりすることもあるし、新しいことをやれば、課題もどんどん出てきます。でもクリアしていくしかない。疲れて、もういいやと思って、例えば俳優としてやってきたものをストップしたとしても、人生は続くし、次になにかを始めたとしても、結局、同じことの繰り返しになるだけ。生き続けるということは、そういうことなので、なにごとも地道に乗り越えていく。ただそれだけです」。
取材・文/山崎伸子