小劇場に商店街、喫茶店…『劇場』の舞台“下北沢”を巡る

コラム

小劇場に商店街、喫茶店…『劇場』の舞台“下北沢”を巡る

映画やテレビドラマに撮影可能なロケ地の情報を提供し、案内、調整も行う組織「東京ロケーションボックス」は、映像作品を通して東京の魅力を国内外に発信しながら、ロケ撮影で地域活性化を図ることを目的としている。その活動内容の紹介として、実際にサポートを受けた作品にフォーカスするこの企画。今回は下北沢が主な舞台となった『劇場』(上映中/配信中)のロケ地を巡る。

永田と沙希のせつない恋愛模様が展開
永田と沙希のせつない恋愛模様が展開[c]2020「劇場」製作委員会

下北沢を舞台に展開するせつない恋物語

又吉直樹の恋愛小説を、『GO』(01)や『世界の中心で、愛をさけぶ』(04)の行定勲監督が映画化した本作。高校時代の友人と立ち上げた劇団「おろか」で脚本家兼演出家を務める永田は、前衛的な作風が理解を得られずに酷評を浴び、仲間である劇団員たちにも見放されてしまう。絶望し、例えようのない孤独に押しつぶれそうになっていたある日、彼は街で自分と同じスニーカーを履いた女性、沙希を見かけ声をかける。やがて、恋人同士になり一緒に暮らし始めるふたりだったが、その関係に少しずつひびが入っていく。

永田と沙希が代々木公園でデート
永田と沙希が代々木公園でデート[c]2020「劇場」製作委員会

永田を演じるのは『キングダム』(19)の大ヒットも記憶に新しい山崎賢人。これまでのイメージを覆すボサボサの長髪に無精ひげを生やした風貌も話題に!目標も定まっていないにもかかわらず、盲目的に夢を追いかけ、それでも自分の才能だけは頑なに信じる永田の姿は時に痛々しくもある。対する沙希役を務めるのは、『万引き家族』(18)などに出演してきた若手実力派の松岡茉優。退廃的な日々を送る永田をやさしく支えるも、次第に心が限界を迎え、疲弊していってしまう。

永田のあご髭に触れる沙希
永田のあご髭に触れる沙希[c]2020「劇場」製作委員会

このほか、永田と共に「おろか」を運営する友人の野原役に寛一郎、「おろか」の元劇団員で一時は永田と仲違いするも、彼を心配している青山役で伊藤沙莉が出演。さらに、永田と同い年ながら気鋭の演出家として活躍する小峰役に、昨年末に紅白初出場も果たしたロックバンド、King Gnuのボーカルを務める井口理がキャスティングされている。

本作の舞台となったのは、原作と同じく東京の下北沢。劇中には、人々の希望や孤独が渦巻き、文学や演劇、音楽など様々なカルチャーの匂いが染みついた下北沢のスポットが数多く登場する。

下北沢を象徴する小劇場が登場

最初に紹介するのは、まさに“下北沢”とも言うべき味わい深い雰囲気を漂わせる小劇場「楽園」。「待つ身」という舞台の講演を終えた永田と野原が、劇場口で観客に挨拶をするシーンで確認できる。このほか、「駅前劇場」という劇場も使用されている。永田と野原が、小峰の劇団「まだ死んでないよ」の舞台を観に行った場面で登場し、斜に構えていた永田が、思わず感動で涙を流し、次元の違いに圧倒されてしまう姿が印象的だ。

「駅前劇場」にて同い年の気鋭演出家の舞台を観劇に
「駅前劇場」にて同い年の気鋭演出家の舞台を観劇に[c]2020「劇場」製作委員会

下北沢一番街商店街など街の景観が楽しめるスポットたち

下北沢の景観が楽しめる様々なスポットを永田たちは訪れる。永田が沙希を初めてデートに誘ったのは、夜の久我山稲荷神社の境内。緊張した面持ちでメールを送り、一度は断られたと思い落ち込むも、それが勘違いだとわかりガッツポーズ!普段はテンションが低く憂鬱な表情をしている永田の初々しさが垣間見える印象的なシーンだ。

久我山稲荷神社では永田のガッツポーズが見られる
久我山稲荷神社では永田のガッツポーズが見られる[c]2020「劇場」製作委員会

沙希の部屋に転がり込んでからは、家賃や光熱費も払わず、好きな時に起き、好きな場所へ出かけ、好きなものを買うといった自堕落な生活を送る永田。散歩コースとしてカフェや古着屋、レコード店が集まる下北沢一番街商店街を練り歩くほか、北沢川緑道の鎌倉橋、カトリック世田谷教会の庭も本作には登場する。

下北沢一番街商店街を練り歩く
下北沢一番街商店街を練り歩く[c]2020「劇場」製作委員会

カトリック世田谷教会の庭で日向ぼっこをする永田と沙希
カトリック世田谷教会の庭で日向ぼっこをする永田と沙希[c]2020「劇場」製作委員会

居酒屋や喫茶店など訪れてみたいお店たち

劇中で利用された飲食店もピックアップ。冒頭で永田が劇団員たちから不満をぶつけられる場所はミックス焼きやお好み焼きが名物の「なんばん亭」、沙希を起用した舞台が成功した際には、秘伝の焼鳥が食べられる「つ串亭」で打ち上げが行なわれていた。また、青山の紹介でライター業を始めた永田が仕事場にしていたのは、レトロな雰囲気の喫茶店「トロワ・シャンブル」と、一度は訪れてみたい飲食店も多数登場。

なんばん亭で食事をするやさぐれた永田
なんばん亭で食事をするやさぐれた永田[c]2020「劇場」製作委員会

トロワ・シャンブルでお仕事
トロワ・シャンブルでお仕事[c]2020「劇場」製作委員会

永田と沙希のせつない恋模様に胸が締めつけられる『劇場』。下北沢の風景は、ふたりの物語に絶妙な悲哀感を醸しだすことにも一役買っている。本作に登場するスポットを通して、独特な下北文化と永田と沙希が紡ぐ『劇場』の世界を存分に味わってほしい。

※山崎賢人の「崎」は立つ崎が正式表記

文/トライワークス


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