渡辺大知と奈緒、玉田真也監督が考える『僕の好きな女の子』における恋愛の正解と不正解
「私自身は美帆の存在を認めたい、肯定したいと思いながら演じました」(奈緒)
――確かに加藤と美帆は2人で会っている時、すごく幸せそうです。また、奈緒さん演じる美帆が、同性から見ても実にチャーミングなので、加藤に共感してしまいます。奈緒さんは、美帆役についてどんなふうにアプローチしたんですか?
奈緒「美帆については、前に知り合いがぼそっと言った『女性から見てもかわいくてむかつかない人っているよね』という言葉を思い出しました。それは同性ならではの目線だと思いました。私は美帆役を演じるにあたり、どうしても思わせぶりなあざとさがにじみでてしまうと成立しない人だと思ったので、私自身は美帆の存在や気持ちを認めたい、肯定したいと思いながら演じました。あとは玉田監督が最初のリハーサルで細かく演出してくださったことが大きかったです」
――4月開催の沖縄国際映画祭でお披露目するために、1か月足らずで脚本を仕上げ、2月には撮影していたという強行スケジュールだったとか。そんななかで、よくリハーサルの時間が取れましたね。
玉田「そうですね。リハーサルは無理を言って撮影前に3~4日間とって、みっちりやらせてもらいました。そこにあるものだけでセットを作り、何度も繰り返し台詞を読んでもらいました。まるで舞台を作っていくような感覚でした」
――加藤と美帆のやりとりは、本当にナチュラルでした。
玉田「2人には、台詞を言っている感じではなく、自然体なやりとりをしてほしかったんです。なんなら、渡辺大知と奈緒が、そのまま素でやっているように見えるのが、理想的だなと思いました。ある程度のテンポ感を想定して台本を書いたので、リハーサルができて良かったです。あれだけ長い会話劇なので、そこを詰めてないとだれてしまう。撮影スケジュールもタイトだったので、いきなり現場だと、あそこまで細かくは演出できなかったと思います」
――まるですべてがアドリブなんじゃないかと思えるくらい自然なやりとりでした。
玉田「アドリブはほぼないです。まあ、お2人の演技がとても上手だという点が大きかったのですが」
渡辺「いえいえ。僕たちも自然体でいられたらと思っていたので、目指すところが共通していたことも大きかった気がします。玉田監督から言われる間合いについても、『なるほど』とうなずけるものばかりでした」
奈緒「私も同じことを思いました」