「新恐竜」を描きだす!今井一暁監督&服部隆之が明かす『映画ドラえもん』の舞台裏

インタビュー

「新恐竜」を描きだす!今井一暁監督&服部隆之が明かす『映画ドラえもん』の舞台裏

1980年の春休み映画として公開された『のび太の恐竜』から40年、そして藤子・F・不二雄による原作漫画の連載開始から50年という2つのメモリアルイヤーを迎えた「ドラえもん」。その劇場版シリーズの最新作となる『映画ドラえもん のび太の新恐竜』が大ヒット公開中だ。MOVIE WALKER PRESSでは、本作で2度目のタッグを組んだ今井一暁監督、音楽を担当した服部隆之にインタビューし、創作の秘密に迫った。

【写真を見る】40周年のメモリアルイヤー!ドラえもんの原点、“恐竜”の新たな物語がオリジナルストーリーで描かれる
【写真を見る】40周年のメモリアルイヤー!ドラえもんの原点、“恐竜”の新たな物語がオリジナルストーリーで描かれる[c]藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2020

「映画ドラえもん」の40作目となる本作で描かれるのは、新たな“恐竜”の物語。恐竜博の発掘体験で見つけた化石を“タイムふろしき”で元の状態に戻したのび太は、生まれてきた双子の恐竜にキューとミューという名前を付けて育てはじめる。しかし現代で恐竜を育てる事は難しく、2匹を白亜紀の時代に返すことを決め、ドラえもんや仲間たちと6600万年前へ出発。キューとミューの仲間の恐竜を探すうちに、のび太たちは謎の島にたどり着くことに…。

オリジナルストーリーで「映画ドラえもん」の代名詞ともいえる“恐竜”を描いた本作でメガホンをとったのは、シリーズ最高の興行収入53.7億円を記録した『映画ドラえもん のび太の宝島』(18)を手掛けた今井監督。そして音楽は、同作から3作連続でシリーズに携わってきた服部が担当。本作でゲスト声優として参加する木村拓哉の代表作である「HERO」の音楽など、これまで様々な映画やドラマに音楽を提供してきた服部は、どのようにして「映画ドラえもん」に参加することになったのか。『のび太の宝島』と『のび太の新恐竜』の2作の舞台裏に迫っていこう。

服部「子どもも大人も関係なく、いい音楽をきっちりと作る」

『映画ドラえもん のび太の新恐竜』今井一暁監督と服部隆之の対談が実現
『映画ドラえもん のび太の新恐竜』今井一暁監督と服部隆之の対談が実現

――『のび太の宝島』で、最初にオファーをもらったときの心境から教えてください。
服部「最初に事務所の人から『ドラえもんのオファーが来ているよ』と言われた時は、すごく意外でしたね。僕とドラえもんって結びつかないのでね(笑)。とは言っても、『ゴジラ』と同じで日本を代表するコンテンツですから、非常に光栄にも感じました。それで引き受けさせていただくことにして、今井監督とお会いしたんです」
今井「あれは『のび太の宝島』が公開する1年前の春でしたっけ?」
服部「そうですね、まだ台本もできていないぐらいだったのは覚えています」

――そもそもどのようなきっかけで服部さんにオファーを出すことになったのですか?
今井「『のび太の宝島』は僕にとっても最初の長編監督作で、僕が監督することが決まった時に、なにかいままでと違うことをやってみたらどうなんだろうかと考えたんです。『好きな作曲家はいますか?』と訊かれて、僕の子どもがよく観ていたEテレの『フックブックロー』という番組が思い浮かびました。子ども向け番組だけど新しさがある音楽で、よくできているなあと思っていたんですが、その音楽を手掛けていたのが服部さんだったんです。それで、ダメ元で服部さんの名前を口にしたら、(脚本を手掛けた)川村元気さんが『ああ、あのおじさんね』と事もなげに仰って(笑)」
服部「川村くんとは『電車男』とか、もう何作品も一緒にやっていましたからね(笑)」
今井「その縁もあって服部さんに受けてもらえて、『やったー!』という気持ちになりましたね」
服部「『フックブックロー』は何年もやらせていただいたんですが、最初はなんで僕に子ども向け番組のオファーが来たのかと思っていたんですよ。でも今井監督にそう言っていただけて全部腑に落ちたというか、なんでもやってみるもんなんだなと思いました」

――実際のところ、子ども向け作品とそうでない作品とで、音楽作りに違いはあるんですか?
服部「なにも変わらないですね。子ども向け番組だからといってわかりやすく作っても意味がなくて。『フックブックロー』を始める時に言われたのは、『子どもにとっては最初に接する音楽だから、子どもっぽいか子どもっぽくないかもわからないと思うんです』ということ。だから子どもとか大人とかは関係なく、僕はいい音楽をきっちりと作ることに専念することにしました。『ドラえもん』でも子ども目線などは意識せず、僕が反応したままの音楽を忖度せずに書いています」

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