「新恐竜」を描きだす!今井一暁監督&服部隆之が明かす『映画ドラえもん』の舞台裏

インタビュー

「新恐竜」を描きだす!今井一暁監督&服部隆之が明かす『映画ドラえもん』の舞台裏

今井「服部さんの音楽が後押ししてくれて、安心感が生まれました」

本作が生まれた経緯を明かした今井一暁監督
本作が生まれた経緯を明かした今井一暁監督

――『新恐竜』の音楽はいつ頃から作業が始まったんですか?
服部「去年の11月頃だったかな…メインテーマとしての1曲と、のび太とキューの関係性を表した曲、映画の核となる2曲をお渡ししました」
今井「その頃ちょうどコンテ作業をやっていて、まさに物語の佳境に差し掛かったところだったんです。どうしようかと煮詰まっていたタイミングで服部さんの曲が届いたので、ずっと聴きながら作業していましたね」

――やはり音楽をあらかじめもらえたほうがコンテ作業はスムーズに進むものですか?
今井「そうですね、音楽を想像できないままで絵を先に作っていくことが多いので、途中からでも、あるのとないのでは全然違いますね。それに服部さんの音楽が後押ししてくれるから、大丈夫だ!って安心感も生まれるんです」
服部「いやいや…、絶対そんなことないって(照笑)」
今井「音楽の力って絶大なので、怖い部分もあるんですよ。時には絵よりも音楽の方が強くなってしまったり。でも服部さんとは綿密に打ち合わせができるから、音楽がフォローしてくれるように感じるんです。服部さんの音楽が入って初めて、『ああ、できたな』って感慨深くなりました」

――音楽作業の過程で一番難しかったことはなんでしょうか?
服部「『宝島』の時も今回も、一回録音が終わってから、音楽を本編にはめ込んでチェックしてもらう日があったじゃないですか」
今井「ありましたね。そこではめてもらった音楽があまりにすばらしくて、僕はひたすら泣くのを我慢していましたよ(笑)」
服部「でも一箇所、のび太たちが白亜紀と間違ってジュラ紀に行ってしまうシーンだけはザクっと切ることになりましたね。僕も迷った部分だったんですけど、音楽が鳴った瞬間に『ここは白亜紀じゃない!』とわかってしまうようなメロディだった(笑)。そういうさじ加減は難しいですよね」
今井「あのシーン、発注では『ミステリアス』とか『人跡未踏』とかでお願いしていましたね」
服部「そうそう、台本に『不吉』とか書いてたもん(笑)」
今井「実際に観てみないとわからないこともありますもんね、そのさじ加減は。でも服部さんはいつもそういうところを汲んでくださる。普通だったら作った曲を切りたくないと思うのに、切ってくださって、さすがだなと敬服しました」
服部「昔は作った曲を切るのは嫌でしたよ、でも50歳を過ぎてからはそういう意地はなくなっちゃいましたね。作品が良くなるのであれば、なんの躊躇もなく切りますね。結局は映画がよくならないと、僕の音楽が成功したことにもならないからね」

「オファーが来た時、すごく意外でした」と明かした作曲家の服部隆之
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