西川美和監督『すばらしき世界』がトロント国際映画祭で初披露!役所広司らがリモート参加

映画ニュース

西川美和監督『すばらしき世界』がトロント国際映画祭で初披露!役所広司らがリモート参加

米アカデミー賞前哨戦となる「第45回トロント国際映画祭」の正式出品作品に選出された西川美和監督の『すばらしき世界』(2021年2月11日公開)が、現地時間9月10日に行われたワールドプレミア上映で披露され、監督と主演の役所広司が日本からリモートで参加。また、特報映像も解禁となった。

『すばらしき世界』トロント国際映画祭でのワールドプレミア上映に役所広司&西川美和監督がリモート参加!
『すばらしき世界』トロント国際映画祭でのワールドプレミア上映に役所広司&西川美和監督がリモート参加![c]佐木隆三 /2021 「すばらしき世界」製作委員会

直木賞作家、佐木隆三の小説「身分帳」を原案とした本作。世界でも高い評価を得てきた西川監督が、学生時代から憧れ続けていた役所と初タッグを組み、実在した男をモデルに元殺人犯の再出発の物語を描く。舞台を原案小説の約35年後の現代に置き換え、徹底した取材を通じて脚本の制作、映画化に挑んだ。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、トロント国際映画祭も出品作品が例年の4分の1程度に絞られるなか、本作は狭き門を見事突破し正式出品作品として選出された。西川監督の同映画祭への出品は『夢売るふたり』(12)、『永い言い訳』(16)に続いて3作品連続の快挙となる。

【写真を見る】役所広司と西川美和監督が初タッグを組んだ問題作…!
【写真を見る】役所広司と西川美和監督が初タッグを組んだ問題作…![c]佐木隆三 /2021 「すばらしき世界」製作委員会

映画祭ではコロナ禍の試みとしてレッドカーペットや記者会見をバーチャルで実施。プログラミングディレクターのジョバンナ・フルピは本作について「脚本が非常によく練られストーリーが感動的。見事に質感がありリアルに感じられる。(主人公の三上を演じた)役所は、役の解釈がとてもすばらしくニュアンスと個性が豊かでカリスマ性を感じる」と絶賛した。

現地からの質問で、役所のキャスティングについて尋ねられた西川監督は「17歳の時に、役所さんが連続殺人鬼を演じられたテレビドラマを観て、いたくショックを受け、それがきっかけでものを書く仕事に就きたいと思うようになりました」と自身の原点を振り返り、「本作の三上という男は非常におもしろい役なので、憧れの役所さんに一念発起してオファーをしたところ、『前向きに考えます』とお返事をいただき、それが自信となって脚本を書き進めることができました」と制作の経緯を明かした。

一方の役所は「脚本を比べて読みながら、小説はもちろんト書きが多いのでその部分は脚本と照らし合わせて、三上という男を探し求めていました。しかしこの男がなかなかつかめなかった。撮影が始まってから、ワンシーン撮ったものがまた次のシーンのヒントになり、少しずつ三上という男に近づいていく感じがありました」と役作りの苦労を明かした。

『すばらしき世界』は、2021年2月11日(木・祝)公開
『すばらしき世界』は、2021年2月11日(木・祝)公開[c]佐木隆三 /2021 「すばらしき世界」製作委員会

また、あわせて解禁された特報では、かつて殺人を犯し13年の刑期を終えて出所し社会のレールから外れてしまった三上と、それをネタに食いものにしようとするテレビマンの津乃田(仲野太賀)とテレビプロデューサーの吉澤(長澤まさみ)の「相手にしない方がいいんじゃないですか?放送に耐えられる対象じゃないっすよ」、「そこがおもしろいんじゃん」という会話がはさみ込まれている。生真面目でまっすぐな三上だが、映像の最後では目に強烈な怒りが宿っており、はたしてどんな結末に物語が向かうのか?強く引き込まれる映像となっている。

現地でいち早く本作を鑑賞したメディアからは「師である是枝裕和を継ぎ、『すばらしき世界』で西川美和が脚光を浴びる時が来た」(Variety)、「誰もが語らずにはいられなくなる。まさに“いま”が描かれた物語」(Loud and Clear)など称賛の声が多く挙がっており、今後国内外でさらなる注目を浴びることになりそうだ。

作品情報へ

関連作品

  • すばらしき世界

    4.2
    1107
    西川美和監督×役所広司主演、まっすぐで無垢な心を持つ元殺人犯の再出発の物語を描く
    Prime Video U-NEXT