香取慎吾が惚れる、三谷幸喜の才能とは?「誰かが、見ている」製作秘話
「今回は振り回される役ではなく、振り回す役だったので、そこは難しかったです」(香取)
香取は舎人真一役について「三谷作品では、常に振り回される役が多かったのですが、今回は振り回す役だったので、そこは難しかったです。これまでの役柄とは違っていたので、脚本の裏になにか意図があるのか?と余計なことを考えてしまい、最初のころは、質問しながら進めていました」
三谷監督は「でも、彼は振り回しているけど、振り回していることにも気づいてないんです」と笑う。
三谷組ではおなじみとなった豪華俳優陣のゲスト出演も見ものだ。その1人として、稲垣吾郎が、演歌歌手役で登場する。三谷は「僕は演出家である以前に、2人のファンとして、シットコムのファンとして、稲垣さんが最初に香取さんのいる部屋に入った瞬間の高揚感がたまらなかったです。お客さんが拍手するんですが『ああ、これがシットコムだよ』とうれしくなりました」と2人の共演シーンに興奮したそうだ。
「アメリカの古いシットコム『アイ・ラブ・ルーシー』を観ていると、何回かに1回、ジョン・ウエインなど、スペシャルゲストとして登場するんです。今回もこの2人の共演が見えるんだと思って、ワクワクしました」。
香取は「緊張感はありました。長いつき合いだったとしても、いや、長いつき合いだからこそ、『今日来たんだ、吾郎ちゃん』というような会話はしなかったです。お互いに集中したいことに集中しました。演歌歌手役でしたが、そこは少し戸惑っているのかなっていう感じはありました(笑)」と言うと、三谷監督も「そんな稲垣さんを、香取さんが好き放題にいじるんですが、あうんの呼吸も含めて、すごくいいシーンになったのではないかと」と手応えを明かす。
ちょうどその回は、公開リハーサルを行なったそうだが、三谷監督はその時に香取が取ったリアクションが忘れられないそうだ。
「僕が、本番で香取さんにプリンを食べてほしいという衝動にかられ、小道具としてプリンをテーブルに置いたんです。そしたら香取さんが芝居してるなかでそれを見つけ、瞬時に僕の気持ちを察してくれて、僕が食べてほしい食べ方でプリンを食べてくれたんです。そこはうれしかったですね。そういうことを嫌がる人もいるし、プリンが置かれていることに気づかない俳優さんもいると思うんですが、香取さんはそうじゃなくて、おもしろく食べてくれました。これが信頼関係だなと」。
香取も「三谷さんからの出題が来たら、それはやらないと。たとえ、プリンになにかが入っていたとしても食べちゃいます」と言っていたが、そのあうんの呼吸は、映像にもしっかり映し出されている。
2020年9月18日(金) Amazon Prime Videoにて独占配信
脚本/演出:三谷幸喜
出演: 香取慎吾、佐藤二朗、山本千尋、長野里美、宮澤エマ、夏木マリ
ゲスト出演:くっきー!(野性爆弾)、西田敏行、高嶋政宏、寺島進、
稲垣吾郎、山谷花純、近藤芳正、松岡茉優、橋本マナミ、八嶋智人、
さとうほなみ、小日向文世、大竹しのぶ、新川優愛、小池栄子ほか