草なぎ剛と水川あさみ「愛は理屈ではない」『ミッドナイトスワン』に込めた愛
「トランスジェンダー役は、あまり作り込みすぎないようにしました」(草なぎ)
草なぎは、凪沙役へのアプローチについて「考えてできるものでもないだろうし、ねらいすぎると、わざとらしくなっちゃう」と、あまり作り込みすぎないように意識したそうだ。
「トランスジェンダーでもいろんな方がいると思うし、凪沙については、あまり女性っぽさはいらないかなと思いました。共演者たちの個性も強かったので、そのなかにいたら、自然と役をつかめていった感じです」。
水川は、内田監督から「『モンスター』のシャーリーズ・セロンみたいに、画面に映っても、水川あさみとわからないようにしてほしい」というハードルの高いオーダーを受けた。
「でも、役が決まってから現場に入るまで、あまり時間がなかったので、まずは金髪にしたり、そばかすをつけたりと、見た目を変化させるアプローチをしていきました。また、台詞が広島弁なので、そこでも違うニュアンスが生まれるし、母親として愛情は持っているけど、育児放棄をしてしまうということで、そういうせつなさを意識して演じました」。
オーディションで一果役に抜擢された服部樹咲は、演技初挑戦にして、原石の輝きを見せる。とりわけ、彼女がバレエで舞うシーンは、神々しいまでの存在感を放つ。
草なぎは「樹咲ちゃんは、いままで演技をやったことがないから、本人はめちゃくちゃ緊張していたんだけど、そこにいるだけで、もう一果でした。僕はそばで見ていて『これだ!』と思いました。僕も彼女を真似して、役を変にこねくり回さず、そこにいようと思ったんです」と、現場で服部の自然なたたずまいにかなり感化されたことを明かした。
水川も「おもしろい。でも、確かにそうでした」と大いにうなずいた。
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水川が愛することの難しさを語る
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