北村匠海&二宮健監督がコメディに挑戦!『とんかつDJアゲ太郎』“アガる”撮影現場に潜入
新たな挑戦に奮闘するキャスト&スタッフ
「最初に製作プロデューサーからタイトルを聞いた時は、新手の詐欺かと思った(笑)」と話すのは、二宮監督。コメディを撮れる監督が少ないなかで、製作プロデューサーが「若い世代に向けた作品だし、若い空気を入れたい」と探し見つけた才能が二宮監督だ。『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY -リミット・オブ・スリーピング ビューティ-』(17)や前作『チワワちゃん』(19)など鬼才のイメージが強かった二宮監督だが、現場では記者の目線を感じてわざとスタッフの陰に隠れたり、何気なく声をかけてくれたりと気さくでチャーミングな一面ものぞかせる。カリスマ的人気を持つ原作の実写化は、監督にとっても大きなチャレンジとなったはずだが「この作品を実写化するというハードルを乗り越えられたら、おもしろそうだと好奇心が湧きました」と回顧。また過去の二作とは方向性もまったく異なるが、「新しいことができるかなというワクワクがあった」と新たな挑戦を楽しんでいる様子がうかがえる。
同じく「こういう作品に出会ったことがなかった」と話すのが北村だ。本人も「いままでは相手の女の子が亡くなってしまったりと、悲しい役柄ばかりで(苦笑)」という通り、『君の膵臓をたべたい』(17)など比較的センチメンタルな作品が多かったなかで、本作は新たな挑戦となった。渋谷にある“しぶかつ”3代目として生まれたアゲ太郎は、店を継ぎたい気持ちも中途半端でうだつがあがらない。そんななか、たまたま配達で訪れたクラブで盛り上がるフロアとその高揚感に衝撃を受け、持ち前のポジティブ思考とみなぎるやる気でDJ修行にうちこみ始める。「アゲ太郎はエネルギッシュで、とにかく前にしか進まない。そういう少年を演じたことがなかったのでチャレンジングですし、皆さん個性的な方が集まっているのですごい爆発力がある。日々負けないように過ごしています」と、力強くも穏やかな眼差しで語る。
そんな北村のことを「本当にいい子」だと、本人の目の前で明かす二宮監督。本作が初顔合わせとなった二人だが、「北村くんのなかの“純真さ”みたいなものがアゲ太郎ととてもリンクしていていて、それがきちんと作品に出ればいいし、一つそういうラインさえあればすごく輝くんじゃないかと。これまでやってきた役とは違うからこそ、見たことのない北村くんになって欲しい」と監督ならではの想いを吐露する。また父親役を演じたブラザートムも、そんな北村のことをとても気に入ったようで「あの青年はいい」と絶賛。「人見知りで、打ち解けるのに時間がかかるところがいいですよね。そういう人間を信じます。(本作は)現場に行くとき、アガる作品でした。息子(北村)に会えるから」と、その人柄に本当の息子のような愛情を感じていたようだ。