北村匠海&二宮健監督がコメディに挑戦!『とんかつDJアゲ太郎』“アガる”撮影現場に潜入
“おもしろいことをする攻防”が繰り広げられる撮影現場
「迷ったらおもしろいものをやろうがキーワード」と語るのは、本作のプロデューサーを務めたフジテレビ映画部の小原一隆。「大変だけどおもしろくなるほうを。ただもしかしたら、やり過ぎている所はあるかもしれない(笑)」と話してくれた通り、その絶妙なさじ加減がコメディ映画の難しい部分でもある。「こういうことをやりたい」、「いや、それはやり過ぎかな」と撮影現場では日々“おもしろいことをする攻防”が製作陣とキャストのなかで繰り広げられているようだが、北村も「トライして、そうじゃない、あってる、と本当に試行錯誤しながらやっているんですけど、難しい」と初のコメディに不安げな表情を見せる。しかし「そういう感情は、朝トイレに流しています(笑)」と静かに見せるひょうひょうとした笑顔からは、新しいチャレンジを楽しんでいる様子がしっかりと伝わってくる。
たんなるコメディ映画ではおわらない!アゲ太郎の成長物語も大きな魅力
原作は様々なエピソードのオムニバス形式になっているため、脚本作りでは「どこをどう切り取るかというのがかなり重要だった」と小原プロデューサーは話す。たんなるコメディ映画ではなく、全体を通して“アゲ太郎の成長物語”に大きく軸足を置いているのも本作の大きな魅力だ。「基本線はアゲ太郎の成長なんですけど、その成長を促したのはアゲ太郎と関わっていく周りの人たち。アゲ太郎がDJに入り込むきっかけとなった片想い相手の苑子と最終的に結ばれるのかという“ラブ線”もきちんと描きつつ、最後まで席を立たないでいただきたいですね」と自信をのぞかせる。
二宮監督も「脚本を作る段階からも、僕たちがおもしろいだろうというものをただ見せるだけではなく、導線を全部作っていきたいと思っていました」と語る。続けて「現場でおもしろいことが、スクリーンを通しておもしろいわけじゃない」とコメディの難しさについても言及する。「現場で普通に見えていることが、映画の流れのなかでおもしろく見えるのがベストです。とはいえ現場は盛り上がっている方が楽しいので(笑)、そこは葛藤がありつつも、みんながいたって真剣に目の前のことに対してリアクションしている様子が、結果的におもしろい仕上がりになると思っています」と、力強く語ってくれた。
取材・文/富塚沙羅