懐かしすぎる…90年代のカルト作『ホーカスポーカス』が、いま北米大ヒットのワケ

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懐かしすぎる…90年代のカルト作『ホーカスポーカス』が、いま北米大ヒットのワケ

『TENET テネット』がV5達成!全世界興収は3億ドルの大台を突破
『TENET テネット』がV5達成!全世界興収は3億ドルの大台を突破[c]2020 Warner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved

今週の北米興収ランキングは、クリストファー・ノーラン監督の『TENET テネット』(公開中)が1位を死守して5週連続ナンバーワンを達成。全世界興収3億ドルの大台をなんとか突破した。しかし先週、「007」シリーズ最新作の公開が来年春に延期が決まったことを受け、イギリスでは大手映画館チェーンCineworldが再度休業を決定。その傘下にあるアメリカ第二の映画館チェーンRegal Cinemasも来週から休業を発表。さらにワーナーは『DUNE/デューン 砂の惑星』をはじめ、今後の上映作品を軒並み公開延期に。未だに収束の兆しを見せないコロナ・ショックが映画界にさらなる打撃を与えようとしている。

そうしたなか、本稿では第2位にランクインした作品にフォーカスを当てたい。公開初日となった金曜日に65万ドル、土曜日には85万ドルを売り上げ、『TENET テネット』越えもあるのではないかと噂されたその作品は、ディズニーが1993年に製作した『ホーカスポーカス』(ディズニープラスにて配信中)だ。
日曜日には45万ドルとやや落ち着いたものの、週末3日間で192万5000ドルという興収は、先週末に『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』(80)の再上映が記録した90万8000ドルを大きく上回り、今年再上映された作品では最高の成績。2570館の公開館数も再上映としては極めて異例の多さとなった。

1993年に公開されたディズニーの人気作が、再上映で異例のヒット!
1993年に公開されたディズニーの人気作が、再上映で異例のヒット!『ホーカスポーカス』ディズニープラスで配信中 [c]2020 Disney

「ハイスクール・ミュージカル」シリーズのケニー・オルテガ監督がメガホンをとり、グラミー賞・エミー賞・トニー賞など輝かしい受賞歴を誇るベット・ミドラーと「セックス・アンド・ザ・シティ」のサラ・ジェシカ・パーカーが共演した同作は、ハロウィンの夜に蘇った魔女3姉妹を描いたファンタジーコメディ。
公開当時は、強敵の多いサマーシーズンの公開とあって大ヒットとまではいかなかったものの、四半世紀以上経ったいまでもハロウィンシーズンに毎年のように放送されるなど、カルト的な人気を誇っている。

今年春には数年前から制作が噂されていた続編の監督に『ヘアスプレー』(07)のアダム・シャンクマンが就任することが決まり本格化。そうしたタイミングでの劇場再公開は、まさに絶好球だったようだ。しかも、例年ならばホラー作品が活気付くこのシーズンではあるが、今年はちらほら公開されているインディーズ系ホラー映画が相次いで不発。もしかすると10月興行の主役に名乗りを挙げ、コロナ禍で相次いだ再上映作品のなかで最大の話題作になる可能性も充分に秘めているといえよう。

再上映としては異例の上映館数で公開され、興行収入ランキング第2位にランクインを果たした
再上映としては異例の上映館数で公開され、興行収入ランキング第2位にランクインを果たした『ホーカスポーカス』ディズニープラスで配信中 [c]2020 Disney

ちなみに同じく2日から再上映されている、ティム・バートン監督の出世作『ビートルジュース』(88)も346館で32万5000ドルを売り上げる好調な滑り出し。2年前の同時期にも1か月半ほどの再上映が行われたが、その約6割の興収をわずか3日間で稼ぎだし、1館あたりのアベレージは『TENET テネット』の991ドルに迫る939ドルとなった。
北米の映画館を救うヒントは、長年にわたって愛されつづけてきたファミリー向け作品にあるのかもしれない。

文/久保田 和馬

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