堤真一と石田ゆり子、初共演作『望み』で呼応し、変化した芝居「カメラにどう撮られるか、考えられない域になっていた」

インタビュー

堤真一と石田ゆり子、初共演作『望み』で呼応し、変化した芝居「カメラにどう撮られるか、考えられない域になっていた」

一人息子が殺人犯なのか被害者かわからないまま彼の帰りを待ち続ける家族の想いを描く、雫井脩介のベストセラー小説『望み』が映画化された。監督は『人魚の眠る家』(18)や『十二人の死にたい子どもたち』(19)などを手掛けた堤幸彦。
愛する子どもが事件に巻き込まれた時、残された家族はどうなるか。世間の目を気にする父・石川一登と、息子を信じ続ける母・貴代美。対立する夫婦を演じた堤真一と石田ゆり子は初共演。どんな想いでこの映画に臨んだか、じっくり語ってくれた。

堤真一と石田ゆり子、ほがらかな笑顔を見せる!
堤真一と石田ゆり子、ほがらかな笑顔を見せる!撮影/黒羽 政士

郊外の一軒家に住む一見幸福そうな4人家族。父の一登は一級建築士で家は彼がデザインした自慢のもの。母の貴代美は手に職を持ちながら家事を切り盛りしている。長女の雅(清原果耶)は高校受験に励む優等生。高校生の長男、規士(岡田健史)が無断外泊した夜、同級生が殺される事件が起きた。そのまま連絡が途絶えた規士が犯人なのか。やきもきする一登たちに、もう一人死んでいるという情報がもたらされる。苦悩する家族がたどりついた真相とはーー。

「話がシリアスな分、石田さんの雰囲気が現場を和ませた気がします」(堤)

――お2人は今回、初共演だそうですが、お互いの印象はいかがでしたか。
石田「私はこれまで堤さんの出演された舞台や映画を拝見して、ぜひ一度共演したいとずっと思っていたので、今回、やっとご一緒できることが楽しみでした」
堤「僕も同じ気持ちでした」
石田「堤さんがさすがなだと思ったのは、台本をすべて頭に入れて現場にいらっしゃるんですよ。もちろんそれは俳優として当たり前のことではありますが、私は現場の空気優先で、その時考えようみたいなところがあって。それを堤さんは全部受け止めてくれるんです。ご自分はセリフも段取りも完璧にもかかわらず、私がなにか違うことをしたら、その場ですぐに切り替えてくださる。ものすごく頼もしい俳優だと感じました」

演技派4人が一つの家族を演じた『望み』は10月9日(金)公開
演技派4人が一つの家族を演じた『望み』は10月9日(金)公開[c]2020「望み」製作委員会

堤「石田さんは演じるたびに、少しずつ演技が違うんですよね」
石田「洗濯物を畳みながら話しているシーンのことをおっしゃっていますよね(笑)。何枚目を畳んだ時にセリフを言う、という段取りが決まっていたにもかかわらず、感情を優先にして、枚数を気にしなかったことがありました。でもそれには理由があって。家のなかで何日も、帰らない息子を待っているので、どんどんつらくなっていくわけです。その貴代美の気持ちになったら、洗濯物の枚数なんて覚えていられなくなってしまって…」
堤「映画やドラマはカットをたくさん撮っていい画をつなげていくから、どれをつなげても同じに見えるようにしておかないといけない。そこであらかじめ、洗濯物の何枚目でセリフを言いはじめるかとか、時計の秒針が何分かとか、左右どちらの手でものを持つかとか、制約のなかで僕たち俳優は演技をする。それをチェックするスクリプターという仕事もあるくらいで。でも石田さんは自由でしたね(笑)」
石田「堤さんも段取りと違うじゃないかとチェックしてました?(笑)」
堤「いや、感情と段取りを一生懸命すり合わせようとしている姿がチャーミングで、話がシリアスな分、石田さんのそういう雰囲気が現場を和ませた気がします。細かい段取りを徹底しようとピリピリしていたら、ただただ重たい空気になっていくばかりですから」

笑顔でキッチンに立つ母娘。仲睦まじい石川家の生活が失われていく…
笑顔でキッチンに立つ母娘。仲睦まじい石川家の生活が失われていく…[c]2020「望み」製作委員会

石田「そうなんですよ。この映画は、順撮りで、最初は家族で笑っているような場面もあったけれど、じょじょに心が苦しいシーンばかりになっていきましたね」
堤「だから僕はできるだけ普段は明るく振る舞おうと思っていました。そんな時、石田さんの天然な言動に笑わせてもらって助かったんですよ」


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