田中宏明&千眼美子が明かす、『夜明けを信じて。』で振り返った過去、見つめる未来
どんな壁にぶつかろうとも、信じた道を突き進む青年の半生を描く映画『夜明けを信じて。』(10月16日公開)。映画初主演にして大役を担った田中宏明は「大きすぎる役」とプレッシャーを背負いながらも、「僕の使命だと思って演じた」と力強く語る。そして「田中さんは、覚悟を決めて撮影に臨まれていた。すごく頼もしかったです」と印象を語るのは、ヒロイン役の千眼美子。支え合い、壮大な物語を紡いだ2人が撮影を振り返ると、本作が自身にとっての転機といえる大切な作品になったことが明らかになった。
主人公となるのは、小さなころから人の何倍も勉強をし、努力を重ねてきた青年、一条悟(田中)。さまざまな人生経験をしながら、やがて自身の使命に気づいた悟が、エリートとしての人生や愛する人も捨て、“誰もいない道”を進んでいく姿を描く。
本作は、マドリード国際映画祭(スペイン)の長編外国語映画部門にて最優秀作品賞を受賞。そのほか、サンディエゴ国際映画(アメリカ)では公式選出作品に選ばれ、レインダンス映画祭(イギリス)では特別上映作品としても選出されており、現在海外4か国で19もの賞(10月8日時点)を獲得している。
「大きなプレッシャーを感じた」(田中)
大役を任されたプレッシャーは、やはり大きなものだったという。田中は、オファーに「びっくりしました」と率直に語り、「一条悟は、この世の欲望に振り回されずに、ひたすら自分の信じた道を歩んでいく。人格者ですし、自分の知識や経験で演じることができるのかと、大きなプレッシャーを感じました。迷いに迷いましたし、尻込みしてしまいそうでした」と告白。
その壁を乗り越えられた理由について、田中はこう打ち明ける。「プロデューサーさんや赤羽(博)監督、スタッフさんの作品にかける熱い信念も感じましたし、そんなみなさんに期待をかけていただいたのだから、“この役を演じきりたい”、“演じきることが僕の使命だ”という想いが湧いてきました。すると一条悟の向上心は、自分のなかにもあるなと気付いて。一条悟が“使命を果たそう”と力強く歩んでいく姿と、僕が“彼を演じきりたい”という想いが重なったんです。そこで負けそうな気持ちは、なくなりました」。
一方、千眼が演じるのは、悟を愛しながらも、彼のために身を引く決断をするヒロインの立花美穂。脚本を読んで「人間にとって大事なことがたくさん詰まっている映画になる」と感じたそうで、美穂についても「明るくて、快活で、自分の夢もしっかり持っている。さらに愛している人が自分の信じる道を進んでいけるよう、自ら身を引くこともできる。愛し方の見本を示しているような女性」と憧れの女性像である様子。
「私だったら、愛している人にさよならを言えないかも(笑)!『連れて行ってください!』と言ってしまうかもしれません。しかも美穂は、表面的ではなく、一条さんの志の高さや誠実さなど、内面的な魅力に惹かれていく。ちゃんと人の心の奥を見ることができる女性。こんな大人の女性になりたいなと思いました」とニッコリ。「美穂を演じる自分の役割は一体なんだろうと考えると、一条さんにとって“捨てがたい存在”にならないといけないと思っていました」と決意し、芯の通った女性を演じ切った。