吉高由里子と横浜流星、『きみの瞳が問いかけている』で共に難役に挑んだ舞台裏

インタビュー

吉高由里子と横浜流星、『きみの瞳が問いかけている』で共に難役に挑んだ舞台裏

「僕は吉高さんから、刺激を受けっぱなしでした」(横浜)

吉高由里子から大いに刺激を受けたという横浜流星
吉高由里子から大いに刺激を受けたという横浜流星撮影/野崎航正

『きみの瞳が問いかけている』というタイトルどおり、2人の瞳が醸し出すエモーショナルなシーンが味わい深い本作。吉高はクランクイン前に、視覚障害者からいろいろな話を聞いて、役作りをしたそうだ。

「その方たちが話す時、どんなふうに顔や目を動かすのかも見せていただきました」と言う吉高。「ときには、話をしていて私の目を見ることもあって、『あれ?見えてる?なんでわかるんですか?』と聞いたら『音がするところが口だとすると、その少し上が目だから、そこらへんを見ます』と言っていて、なるほどなと思いました。だから、私も塁の声がする方向を向くようにしていました。マネージャーさんからはよく『眉毛が動いてる』と言われましたが、めちゃめちゃおでこを動かしていたので、しわが増えたかもしれないです(苦笑)」。

横浜は、吉高の演技を間近で見て、「本当に、見えてないんじゃないかと思いました」とリアルさに目を見張ったこともあったとか。「ただ、僕はそんな明香里を前にして、ちゃんと自分の言っていることが伝わっているのかなと、不安に感じることもあったので、いつも以上に自分の想いをぶつけました。ひたすら明香里のことを想い、たとえ相手には見えてなくても、ちゃんと気持ちを伝えようと思ったんです」。

互いに惹かれ合う2人だったが、その先には残酷な運命が待ち構えていた
互いに惹かれ合う2人だったが、その先には残酷な運命が待ち構えていた[c]2020「きみの瞳が問いかけている」製作委員会

今回の共演で、お互いに、演技を引き出してもらったと感じた点を聞くと、吉高は「明香里は、目が見えないぶん、空気感で塁のことを信用し、惹かれていきますが、流星くんはまさにそういう雰囲気を出してくれました。また、流星くんはフットワークが軽いので、どういうところにボールを投げても、キャッチしてくれました」と、横浜への信頼感を口にする。

横浜も「僕も刺激を受けっぱなしでした」と同意する。「もしも、僕のお芝居が良かったと言ってくれたとしたら、それはすべて吉高さんのおかげです」と、吉高への感謝を全面に押し出すと、吉高は「やめて!」と慌てる。

横浜は「僕は今回、吉高さんの演技を受け止めるだけだったので。いわば、明香里が塁に光を与えてくれたのと一緒で、僕は現場で吉高さんからの刺激をもらいっぱなしだなと感じていました」と繰り返す。

『きみの瞳(め)が問いかけている』は10月23日(金)より公開
『きみの瞳(め)が問いかけている』は10月23日(金)より公開[c]2020「きみの瞳が問いかけている」製作委員会

さらに横浜は「今回の塁役もそうでしたが、僕は自分を追い込む役を演じると、自分のことしか考えられなくなるんです。まだ、ガキなので、いっぱいいっぱいになってしまう」と述懐。「自分の視野はすごく狭いけど、吉高さんは広くて、いつも周り全体を見てくれます。吉高さんだって、すごく大変な役なのに、周りを巻き込み、明るい雰囲気を作ってくれるんです。そんなにすてきな座長っていますか?自分も今後、年を重ねて、同じような機会をもらえた時、自分もそういう座長でいたいと思いました」。

吉高は「いやいや、追い込まれ方が違うから。私は追い込まれてないもん」と言ったあとで「流星くんは本当に真摯で、役と向き合う時間が長いから、自分のことを追い込みすぎないかなと心配になります」と、とことんストイックな横浜を案じた。

横浜は「いえいえ」と首を横に振り、「吉高さんは、撮影が一緒じゃない時もメールなどをくれて、すごく気にかけてくださいました。本当に思いやりのある方です」と、やはり吉高を褒め倒す。吉高はそれを受け「『きみのメールが気にかけている』。今度、アナザーストーリーでぜひ」とおちゃめに言って、笑顔で締めくくった。

取材・文/山崎伸子

関連作品